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ピックアップ事例

ちょうかいネット
ちょうかいネット(平成23年稼働)
酒田地区医療情報ネットワーク協議会(山形県)
鶴岡地区医療情報ネットワーク協議会(山形県)
0234-26-5112(酒田地区) 0235-26-5111(鶴岡地区) 公式ホームページ

※平成31年3月時点

全体概要

対象地域 医療圏:庄内二次医療圏
市区町村:酒田市、鶴岡市、遊佐町、庄内町、三川町
構築時の主な関係者 酒田地区医療情報ネットワーク協議会
鶴岡地区医療情報ネットワーク協議会
費用負担 構築費用:
地域医療再生臨時特例基金(地域医療再生基金)
【酒田地区】29,925千円
【鶴岡地区】40,105千円

運営主体の運用費用:
1,605千円(年間)
(システム保守1,197千円・事務費用408千円)
規模 ユニークな同意患者数
(同意書の重複を除いた同意患者の絶対数):
【酒田地区・鶴岡地区合計】37,511名
[平成31年3月現在]

参加機関数:
【酒田地区】139施設(カッコ内は開示施設数)
・病院:12施設(5)
・医科診療所:54施設
・医科診療所:54施設
・薬局:8施設
・介護事務所:39施設
・その他(訪問看護ステーション、老健施設):16施設
[平成31年3月現在]

【鶴岡地区】65施設(カッコ内は開示施設数)
・病院:6施設(1)
・医科診療所:25施設
・歯科診療所:11施設
・薬局:14施設
・その他(訪問看護ステーション、老健施設):9施設
[平成31年3月現在]
病病/病診連携以外のサービス 診療予約、多職種連携機能、薬薬連携機能

取材対応者(敬称略)

島貫隆夫   地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院 院長
池田恒弥   地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院 事務局次長
佐々木邦義  地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院 情報システム係長
菅原広光   鶴岡市立荘内病院 参事
冨樫清    鶴岡市立荘内病院 地域医療連携室室長補佐
前田寛枝   鶴岡市立荘内病院 地域医療連携室専門員
佐藤顕    さとう内科クリニック 院長
遠藤貴恵   一般社団法人鶴岡地区医師会 地域医療連携室課長


参照資料等

・総務省資料「酒田地区医療情報ネットワーク『ちょうかいネット』」
・地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院 島貫隆夫氏資料
・NEC「地域医療連携ネットワークサービス事例紹介」
・ちょうかいネットホームページ

概要

ちょうかいネットは、全国統一クラウド型サービス「ID-Link」を活用した庄内地域医療・介護情報ネットワークである。各医療機関で既に稼働している電子カルテ、オーダリングシステム等の情報をインターネットを利用して開示し、同意を得た患者の診療情報を地域で共有することにより、急性期から回復期、在宅医療までを見据え、各医療機関で役割分担をしながら限られた医療資源を有効に活用し、一貫した治療方針の下、住民に医療サービスを提供する体制を構築している。

ちょうかいネットは平成23年4月より酒田地区において運営を開始。平成24年6月には、先行して ICTを活用した医療情報連携ツールである「Net4U」を運営していた鶴岡地区もちょうかいネットに参加し、庄内二次医療圏全域での連携が実現した。既存の別システム(Net4U)とのスムーズな連携の実現により、住民がより多くの医療機関から適切な医療機関を選択可能とすることを目的としている。

ちょうかいネットの機能として「診療録の閲覧」「処方情報」「各種検査結果共有」「画像情報共有」「レポート共有」等を有している。また、情報開示病院の必須条件として「診療録(医師記録)の開示」「DICOMデータのダウンロード許可」などを設定し、患者には共有用の固定 ID を持たせ、複数病院の診療情報を患者をキーとして検索し一覧表示することができるため、病院、診療所間の双方向医療連携を実現することができている。

運用開始から8年間で登録患者数も参加施設数も着実に増加。病院、診療所だけではなく歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、老健施設にまで拡大している。

図表:ちょうかいネットの概要
図表:ちょうかいネットの概要

特徴

・全国統一クラウド型サービス「ID-Link」を活用した庄内地域医療・介護情報ネットワーク

・医療連携に不可欠な診療録(医療記録)等を開示し、地域の医療従事者が一体となってシームレスな医療を提供

・鶴岡地区医師会が運用していた地域電子カルテ「Net4U」をID-Linkによりちょうかいネットと相互連携


連携の背景

2004年 医療法人健友会本間病院 オーダリングシステムを導入(MIRAIs)

2007年 旧県立日本海病院 電子カルテを導入(EX-MIRAIs)

2008年 旧県立日本海病院と旧市立酒田病院の統合・再編

2010年 統合・再編完了。地域での医療情報共有を目的に酒田地区医療情報ネットワーク協議会を設立しID-Link導入

2011年 ちょうかいネットの本稼働開始

2012年 鶴岡地区医療情報ネットワーク協議会がID-Linkに参加

2014年 庄内余目病院がID-Linkに参加

2015年 やまがた健康推進機構(庄内検診センター)がID-Linkに参加


成功要因

医科診療所において病院の診療録の閲覧ニーズが強くある一方で、病院においては診療録の開示に抵抗があり診療録の開示に至らず、利便性が低下し利活用が進まない事例が存在する。本地域においては、中核病院の必須条件として「診療録開示とDICOMデータのダウンロード許可」を決定・実現した。その結果、医科診療所をはじめとする参加施設が求める情報を連携できるようになり、普及が進んだ。

システム構築の際に「欲しい機能」に拘るあまりパッケージの標準機能を超えた独自性の強いカスタマイズが増え、構築・保守費用が過大になってしまうことがあるが、本地域においては、導入を決定したパッケージの標準機能を活用し、独自性の強いカスタマイズは行わない方針を掲げ、その制限の元、何を実現するかの議論を行った。その結果、構築費用・保守費用を低減することができた。

介護事業所においても医療情報の閲覧ニーズが強くある一方で、情報セキュリティへの懸念から介護事業所へ利活用が拡がっていないことがある。本地域においては、利用対象者の定義やセキュリティ研修会実施等の利用ルールを明確にすることにより、介護事業所への利用拡大を実現した。その結果、「患者一人当たりの医師記録への平均アクセス件数」は居宅支援事業所が最も多い等、利活用が進んだ。

ネットワーク構築時の苦労

中核病院における診療録の開示には、院内からの反対意見が少なからず存在したが、最終的には院長によるトップダウンの決断により、診療録開示の決定・実現に至った。

病院を跨いだ検査結果を紐づけるにあたり、病院ごとに異なる検査コードの突き合わせが必要であったが、突合せを行う検査項目を42に絞り込み、日本海総合病院の医療情報担当者が一つひとつ突合せを行うことにより、実現に至った。

参加施設におけるITリテラシーやメリットの理解が壁となり、稼働当初は利用率が低かったが、酒田地区・鶴岡地区の両医師会長が積極的に利用事例を広報誌等で発信することにより、徐々に利用が拡がった。

運営主体からのこれから医療情報連携ネットワークを構築する方へのメッセージ

ちょうかいネットが成功した最大の要因は診療録の開示にあると考えていますが、開示の合意に至るには病院や地区医師会等の良好なヒューマンネットワークが不可欠です。顔の見える関係だからこそ信頼関係が生まれ、積極的な情報提供が可能になります。


医療情報ネットワークは、使ってもらわなければ有用性・利便性を十分理解してもらえないことが多く、ネットワークへの参加、同意書の取得フローをできる限り簡便化し、参加しやすい環境を作ることが重要だと考えます。最初は半信半疑でも、いざ使ってみると非常に便利、手放せなくなり、いつの間にかそれが当たり前になる。それが医療情報ネットワークです。


システムの導入や要件定義にあたっては、費用対効果を意識し、標準規格での連携とパッケージ標準機能での運用を検討するべきです。ベンダー独自規格による連携は費用が高額になることはもとより、他地域で同様の連携を行う際の前例となってしまうため、医療情報ネットワーク・ベンダー双方に良い結果をもたらしません。他地域でも容易かつ安価に連携できるような仕様をベンダーに求めていくことが、全国の医療情報ネットワークの発展に繋がっていきます。

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