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山科医療介護連携ネットワーク(平成27年稼働)
洛和会ヘルスケアシステム(京都府京都市)
075-593-4111 公式ホームページ

※平成29年2月時点(ただし、登録患者数や参加機関数は、平成28月9月末時点の情報を掲載)

計画Step

1.地域課題、要求事項の抽出

(1)地理的特徴

山科医療介護連携ネットワークが対象としている山科区は、京都市を構成する11の行政区の一つである。京都市の東側にある山科盆地の北部と、周辺の山地を区の範囲としている。山科区は、京都市の東の玄関口としての役割を担っている。西は東山連峰、北は大文字山、如意ケ獄、東は音羽山、牛尾山と三方を山並みに囲まれ、南で伏見区の醍醐地域に接している。

京都府には丹後、中丹、南丹、京都・乙訓、山城北、山城南の6つの二次医療圏が設定されており、山科区は京都・乙訓医療圏に属している。

図表:山科医療介護連携ネットワークの対象地域
図表:山科医療介護連携ネットワークの対象地域
出所:日医総研ワーキングペーパー地域の医療提供体制の現状 – 都道府県別・二次医療圏別データ集 -(2016 年度版)より作成
(2)医療需要

山科区では人口が平成25年9月時点で約13.5万人、高齢化率は約26.5%である。二次医療圏単位で見ると、京都・乙訓医療圏の高齢化率(22.3%)は京都府平均(23.3%)より低いものの、山科区は京都府平均より高く、全国平均(25.1%)と比較しても高齢化が進行している地域である。

図表:各医療圏の人口および高齢化率(平成22年現在)
丹後 中丹 南丹 京都・乙訓 山城北 山城南 京都府
人口 102,012人 201,332人 141,728人 1,621,085人 445,107人 116,049人 2,627,313人
高齢化率 31.7% 27.4% 24.4% 22.3% 21.7% 19.3% 23.3%
出所:京都府保健医療計画(平成25年3月)

患者の受療動向をみると、病床数や医師、看護師、薬剤師などの医療従事者が集中している京都・乙訓地域においては、京都・乙訓医療圏住民の地元受療率は9割を超えており、山城北地域、南丹地域など他の医療圏からは流入患者が多く、拠点的役割を果たしている。

(3)医療供給

山科区は、医師数、看護師数、一般診療所数は全国平均より高い水準にあるが、病院数は全国平均と比較して低い水準にある。

人口10万人あたりの医療従事者数は、医師は314.23人で、全国平均(244.12人)よりもかなり高く、看護師も同様である(931.60人、全国平均840.13)。

一般診療所数は101施設で、人口10万人あたり74.24で全国平均(68.42)よりも高い。

一方、病院数は7施設で、人口10万人あたりに換算すると5.15施設であるが、全国平均(6.62)よりも低い。

(4)対象地域の医療課題

山科医師会では医師の平均年齢が70歳超と高齢化が進んでおり、医師を中心として在宅医療や介護従事者との連携を行うことは今後難しくなることが想定されていた。このため、地域包括ケアシステムの構築に向けて、訪問看護師の存在を重視していた。しかし、訪問看護師と他職種との情報共有が円滑に実施できていない現状があり、結果的に訪問看護師は病院や診療所へ頻回に電話やFAXによる情報収集を強いられているなどの業務負担が増加する傾向があり、訪問看護師の業務負荷の緩和が課題となっていた。

2.医療情報連携ネットワークの必要性の検討

(1)山科医療介護連携ネットワークの背景(CoMetの運用開始)

山科区では山科医療介護連携ネットワークを構築する前に、別の医療情報連携ネットワークが構築されていた。

平成14年の診療報酬改定では、急性期特定入院加算や紹介患者加算が定められた。山科医師会は、上記改定を受け、病院と診療所間で紹介・逆紹介を促進するため医療情報連携ネットワーク「CoMet」の構築を決定した。

CoMetでは、紹介・逆紹介の電子化のほか、

  • 電子カルテ情報の公開
  • ニュース配信(インターネットニュースより事務局が引用)
  • 地域医師の顔写真公開
  • 地域医師の自己紹介動画公開
  • 研修医と指導医のレクチャー動画公開

などのコンテンツを作成した。これらのコンテンツを作成した理由は、紹介・逆紹介が比較的少ない医師にとっても他のコンテンツでメリットが感じられるようにするためである。また、様々なコンテンツを通して医師間のコミュニケーションが活発化することで、紹介・逆紹介を促進することを意図していた。

図表:CoMetの全体像
図表:CoMetの全体像
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料より作成
図表:CoMetの概要
項目 内容
運営主体 ・山科医師会
目的 ・病診連携の促進
経緯 ・平成15年 企画/設計
・平成16年 稼働
導入費用 ・診療所へのCoMet専用PC購入:5万円/台
・ワンタイムパスワード:2.7万円/件
・ウイルス対策ソフト:1.2万円/件
※2年間分
導入開発資金 合計115百万円
・国庫補助:56百万円(1/2補助)
※厚生労働省平成15年度地域診療情報連携推進事業
・ 山科医師会補助:10百万円
– PC代:5百万円
– セキュリティ他:5百万円
・洛和会ヘルスケアシステム:49百万円
運用費用 年間320万円(サーバ保守含む)
会費 ・入会金:50,000円
・月額 : 1,000円
※ CoMetのホームページのログイン画面に広告を出して広告収入を得た(山科医師会収入とした)
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料より作成

CoMetの運営主体は山科医師会であり、その事務局業務を洛和会ヘルスケアシステムが担った。洛和会ヘルスケアシステムはCoMetの企画を行い、構築費用の4割強を負担した。洛和会ヘルスケアシステムは、山科地域の医療福祉の一角を担う一大医療法人である。医療情報連携ネットワークを構築することで、顧客である診療所医師との連携を深めることができ、かつ、それが地域の医療の質向上や効率化にもつながるという組織判断があり、投資を決定した。

CoMet運用中は紹介・逆紹介が活発に行われ、参加機関数は103施設(診療情報の開示(病院医師-診療所医師-患者の三者同意があり、かつ紹介元診療所への開示)をした病院3施設)まで増加したが、平成22年に運用を停止した。その理由として、以下が挙げられる。

  • ① 検査データの共有はできたものの、異なるシステム事業者間では共有ができないため、利用範囲が限られる(共有の問題)
  • ② 多忙な医療介護従事者に情報入力の負担がかかっていた(業務負担の問題)
  • ③ 各種セキュリティ(安全性)を確保する仕組みを導入した結果、参加機関側でのセキュリティ対策(VPN接続とシステムログイン時に別のID、パスワードが必要となる)が面倒となり、業務の中での使いやすさ(ユーザビリティ)に問題があった(利便性の問題)
  • ④ ICTではなく、従来の紙を活用した連携を希望する診療所が参加していた
  • ⑤ サーバの運用保守費用が高価であると考える参加機関が存在した
  • ⑥ 診療所の利用料(月額1,000円※入会金は50,000円)が高価であると考える参加機関が存在した
(2) 新たな医療情報連携ネットワークの構築決定

洛和会ヘルスケアシステムは、CoMetの取組みを通じて医療情報連携ネットワークが地域医療にもたらす効果を認識しており、CoMetに代わる新たな医療情報連携ネットワークを構築することを検討した。

当時、国の政策は医療機関における平均在院日数を減らす方向で進められていたため、従来以上に重症な在宅患者を含め在宅患者が増加することが予想されており、在宅医療の提供者や医療と介護の情報連携の必要性が従来以上に高まることが予測された。そこで、洛和会ヘルスケアシステムでは、地域包括ケアシステムの構築に向けて医療介護連携の促進を目的とする医療情報連携ネットワーク構築の検討を開始した。

洛和会ヘルスケアシステムは平成26年度総務省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の推進に関する請負」事業(以下、平成26年度事業)の実証地域として山科区を提案、採択された。本実証において、主に電子カルテやレセコン、介護システムから情報を自動収集し、蓄積し、連携に必要な情報を提供する医療介護情報連携基盤を開発した。

平成27年には、平成27年度総務省「医療・介護情報連携基盤の活用の推進に関する調査の請負」事業(以下、平成27年度事業)においても実証地域として採択され、職種別に見たい情報を迅速に閲覧するための専用アプリケーションを開発した。



システム構築にあたっては、CoMetが継続運用できなかった経験を活かし、訪問系スタッフ(医師、訪問看護師、訪問介護など)の負担軽減や効率化をはかり、かつICTリテラシーが高くなくても使いやすい仕組みとすることを目指した。

また、多忙な医師や訪問看護師からは、クリック数を極力少なくし、必要なデータにすぐにアクセスできることが求められており、参照画面の一覧性を求める意見もあった。そこで、各職種にとって有用な仕組みはどのようにあるべきか検討を行った。

図表:運用開始までのプロセス
日程 プロセス
平成16年3月 CoMet(Cooperative Medical Network)運用開始
・ 開示:3施設
・ 閲覧:100施設
平成22年12月 CoMet運用停止
平成26年10月 総務省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の推進に関する請負」事業に提案。実証地域に山科区が選定され、システム開発開始
平成27年10月 総務省「医療・介護情報連携基盤の活用の推進に関する調査の請負」に提案。実証地域に山科区が選定され、在宅医療・介護連携に関わる職種別に情報提供を行う専用アプリケーションを開発
平成27年12月 山科医療介護連携ネットワーク運用開始
参加機関:41施設
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料
(3) 検討組織

実証の進捗管理、調整などを行う「実証部会」を洛和会ヘルスケアシステム内に設置した。

実証部会の下に「実証ワーキンググループ」と「システムワーキンググループ」を設置し、実務者レベルの進捗管理、調整を行った。実証ワーキンググループは、多職種連携の関係職種で構成され、医療・介護間の情報共有の実現のための課題整理などを行った。システムワーキンググループはシステム関係者で構成され、医療・介護間の情報共有を実現するシステムのあり方に係る検討を行った。各ワーキンググループに作業班を設置し、作業を進めた。

平成27年度事業においても上記の体制を継続した。

図表:山科医療介護連携ネットワークの検討体制
図表:山科医療介護連携ネットワークの検討体制
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料より作成

3.事業概要の決定

(1) 医療情報ネットワーク構築の目的

地域包括ケアシステム構築に向けて、医療従事者と介護従事者の連携促進を目的とした。

(2) 事業の全体像

医療情報連携ネットワークは、診療情報、処方情報、調剤情報、在宅医療・介護情報などを電子カルテシステム、診療報酬明細書電算処理システム(レセコン)、介護システムからクラウド上に標準的な形でアップロードする仕組みを構築した。また、医療・介護関係者が従来の業務で活用してきたシステムから自動でデータがアップロードされる仕組みを導入し、医療情報連携ネットワークを利用する際にデータの二重入力の負担が発生しないことを重視した。

さらに、医療介護情報連携基盤に蓄積したデータは、業務に必要な最低限の情報に迅速にたどり着くことが重要であると考え、在宅医療・介護の関係者ごとに職種別の専用アプリケーションを開発し、各職種が重要と考えている情報に絞って情報提供を行った。

図表:山科医療介護連携ネットワークの概要(再掲)
図表:山科医療介護連携ネットワークの概要(再掲)
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料

重要度の高い情報は職種ごとに異なるため、職種や立場別に以下の専用アプリケーションを開発した。

  • 訪問看護師向け専用アプリケーション
  • ケアマネジャー向け専用アプリケーション
  • 家族向け専用アプリケーション
  • 病院ER向け専用アプリケーション(今後導入予定)
  • 往診医師向け専用アプリケーション(今後導入予定)

サービスの基本方針として、多忙な在宅医療介護の現場においても使われるシステムとするため、現場が必要とする情報を最短の操作で取得できることを目指した。信号を無線で発信する端末を活用した利用者自動認証などによりログイン作業を簡便化し、閲覧する情報は職種別に重要度の高い情報に限定した。

(3) 参加機関

参加機関は、病院、診療所、居宅介護支援調査所、訪問看護ステーション、医療介護サービスセンターが実証事業に参加した。

(4) 共有できる情報項目
・医療情報(出力データ)

山科医療介護連携ネットワークの参加機関の一つである洛和会音羽病院では、以下の図表の情報項目を電子カルテから出力、医療介護情報連携基盤に蓄積し、職種別に必要な情報を開示して医療介護連携に活用している。

図表:共有情報項目(医療)(例:洛和会音羽病院)
(○…共有している、×…共有していない)
情報項目 情報の共有の有無
患者基本属性
アレルギー情報
病名情報
カルテ情報 医師記載(2号用紙)
退院時サマリ
看護記録
看護サマリ
温度板
手術レポート ×
文書情報 ×
オーダ情報 処方オーダ
注射オーダ
検体検査オーダ
内視鏡オーダ ×
生理検査オーダ ×
入院オーダ ×
外出先オーダ ×
転科・転棟オーダ ×
退院オーダ ×
食事オーダ ×
担当医情報 ×
検査結果 検体検査結果
細菌検査結果 ×
病理検査レポート ×
放射線画像 ×
放射線レポート ×
エコー画像 ×
エコー検査レポート ×
内視鏡画像 ×
内視鏡検査レポート ×
生理検査結果 ×
生理検査レポート ×
心電図波形 ×
服薬指導情報 ×
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料より作成
・介護情報(介護事業者システムからの出力データ)
図表:共有情報項目(介護)
情報項目 情報の共有の有無
基本情報
処方・調剤 ×
評価内容
ケアサービス計画 ×
標準メッセージ M01~M分 ×
診療・処置
リハビリ
バイタル
ケアサービス内容 ×
食事・水分
排泄状況
口腔ケア
服薬管理
服薬
伝達事項 ×
検査記録 ×
入院記録 ×
サービス提供票
生活 ×
居宅療養管理指導 ×
訪問看護指示書
訪問看護報告書
訪問看護記録書
主治医意見書 ×
サービス提供表
サービス計画
FIM
BI ×
診療情報提供書 ×
薬学的管理指導計画書 ×
訪問薬剤管理指導報告書 ×
診療録 ×
・閲覧データ

見たい情報を迅速に閲覧できるようにするため、各職種で必要性の高い情報のみを提供する方針でシステム開発を行った。開発に先立ち、職種ごと(医師、医師(救急室)、看護師、看護師(救急室)、メディカルソーシャルワーカー、看護師、ケアマネジャーなど)に情報の必要性、情報の利用頻度、現在の情報入手にかかる負担をアンケートで調査、調査結果に基づいて専用アプリで閲覧する情報項目を決定した。

職種別の閲覧情報項目
職種・立場 情報項目
往診医師 (現在検討中)
病院(救急室) ・(訪問看護からの)訪問看護記録、経過記録 (ケアマネジャーからの)入院時情報提供書 (薬局からの)服薬・調剤情報
ケアマネジャー ・(病院からの)退院時サマリ、看護サマリ、MSWアセスメントシート、介護指導記録、ソーシャルワーカサマリ、看護記録
利用者家族 (現在検討中)
出所:洛和会ヘルスケアシステムヒアリングにより作成
(5) アクセス制御

山科医療介護連携ネットワークの利用者は下表のとおりである。閲覧する情報項目は職種別にすでに絞り込まれているため、各参加機関で閲覧制限はしていない。

図表:医療情報連携ネットワーク利用者
施設 利用者
病院 医療相談員、地域連携課、事務、医療情報技師
診療所 医師、看護師、事務
居宅介護支援 ケアマネジャー
訪問看護ステーション 看護師
訪問介護事業者 サービス提供責任者
デイサービスセンター 看護師、生活相談員
訪問入浴 看護師、介護職
グループホーム 介護職
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料
(6) 職種別アプリケーション
1)訪問看護師向け専用アプリケーション

訪問看護師向け専用アプリケーションでは下記の機能が利用可能である。

  • 閲覧機能(患者情報・訪問看護記録・計画・予定)
  • 記録機能(バイタル・訪問看護記録・実施)
  • CHR閲覧呼び出し機能

これまでは患者情報は訪問看護ステーションに紙で管理されていたため、患者情報が必要な場合は訪問看護ステーションに戻る必要があった。しかし、アプリケーションを活用することで、外出先から簡単に情報を入手できるようになり、通常の業務時の業務負担軽減に加え、緊急時の呼び出し時の対応などにも活用できるようになった。

2)ケアマネジャー向け専用アプリケーション

ケアマネジャー向け専用アプリケーションでは、下記の機能が利用可能である。

  • CHR閲覧機能

これまで、ケアマネジャーは検査予定日や処方などの状況を知るために患者や各施設に連絡して教えてもらう必要があった。しかし、アプリケーションを活用することで、簡単に検査予定日や処方などの情報を入手できるようになり、円滑に服薬指導などが実施できるようになった。

3)家族向け専用アプリケーション(開発中)

家族向け専用アプリケーションは現在、開発を検討している。問看護師やヘルパーなどの訪問記録は介護サービスの利用者の自宅にある紙の連絡帳に記載されるため、これまで遠方に住む家族は訪問状況や利用者の様子を頻繁に確認することが難しい状況にあった。しかし、アプリケーションを活用することで、連絡帳の記載内容をメールで簡単に確認できるようになり、家族の立場からも安心感が得られるようになった。

4.事業運営主体の組織の設置

(1) 運営主体の組織

山科医療介護連携ネットワークの運営主体は、洛和会ヘルスケアシステムである。医療情報部に山科医療介護連携ネットワーク担当者1名を置いている。

(2) 地方公共団体の関与(医療計画、財政支援)

山科医療介護連携ネットワークの構築および運営に地方公共団体は関与していない。しかし、京都府では、ICTを活用した医療情報連携ネットワークの構築を図っており(医療介護総合確保推進法に基づく計画:診療連携カードを活用した患者情報のIT化、地域医療再生基金計画:タブレットを活用した訪問診療のICT化推進事業など)、その方針に従って先行的に山科地域で始めた取組みに位置付けられる。

5.個人情報保護方針などの作成

岡山の「晴れやかネット」など他地域の医療情報連携ネットワークの運用ポリシーを参考として、実証部会において作成した。

6.ガイドライン・標準化規格などの確認

(1) ガイドラインの確認

システム化にあたっては下記のガイドラインを確認し、調達仕様書などを作成する際に準拠することを明記した。

図表:構築時に確認したガイドライン一覧
# 文書名称
1 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
2 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
3 総務省「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」
4 総務省「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」
5 経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料
(2) 標準規格の採用

「JAHIS IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド本編」、「小規模医療機関にかかるインターフェース規格策定」、「JAHIS IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイドレセコン編」を参照して、業界標準仕様や技術を確認したうえで、業界標準仕様・技術を可能な限り採用した。これにより、標準的な形で医療情報や介護情報をアップロード、医療介護情報連携基盤に情報を蓄積して、在宅医療・介護の関係者が業務に必要な情報を閲覧する仕組みを構築した。

図表:採用した規格一覧
規格採用範囲 規格内容
患者ID管理 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
(PIX,PDQ)(厚生労働省標準規格)
連携データの共有方法 IHE-ITI を用いた医療情報連携基盤実装ガイド本編Ver.1.0(保健医療福祉情報システム工業会)
医療分野における小規模機関に係るインターフェース規格について(厚生労働省)
利用者認証 独自
連携データの保存形式 SS-MIX2 仕様書・ガイドライン(日本医療情報学会)
コードマスター
・病名コード 開示施設間でのコード統一は未実施
・処方コード 開示施設間でのコード統一は未実施
・検査コード 開示施設間でのコード統一は未実施
・画像 開示施設間でのコード統一は未実施
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料より作成

7.システム化方針決定

診療情報、処方情報、検査結果、介護情報などを患者の同意に基づき共有し、相互参照できるCHRを構築し、異なるシステムベンダを利用している複数職種、複数事業所、異なる地域の間で、相互のデータ共有とコミュニケーション可能な環境を整備する。

8.事業計画・収支計画立案

(1) 構築費用

平成26年度事業により、主にEHRや介護システムからCHRに情報を蓄積する仕組みを開発した。総事業費は31,000千円であった。

平成27年度事業では、主にCHRに蓄積された情報を専用アプリケーションで各職種や家族に提供する仕組みを開発した。総事業費は19,000千円であった。

図表:構築費用
費目 費用
平成26年度総務省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の推進に関する請負」
システム構築費 27,000千円
機器費用 4,000千円
平成27年度年総務省「医療・介護情報連携基盤の活用の推進に関する調査の請負」
システム構築費(導入支援費用) 3,200千円
機器費用 5,000千円
訪問看護専用アプリケーション開発費用 10,800千円
合計 50,000千円
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料
(2) 構築費用の負担配分

平成26年度および平成27年度の各総務省事業の事業費を活用してシステム構築を行ったが、不足金額は洛和会ヘルスケアシステムが負担した。構築費用は総額50,000千円で、負担配分は、国庫負担78%、洛和会ヘルスケアシステム22%である。

(3) 運用費用

山科医療介護連携ネットワークの運用費用(平成27年度)は約2,875千円/年で、主な使途は消耗品1,735千円/年、iPad通信費1,140千円/年である。

図表:山科医療介護連携ネットワークの運用費用(平成27年度)
費目 費用 負担者
該当/非該当
(※)
金額
洛和会ヘルスケアシステム
(運営主体)
会議費用 2,875千円/年 運営主体
人件費 × 運営主体
事務局諸費用(消耗品費、通信費など) 運営主体
システム改修費用 × 運営主体
システム
運用費用
システム運用保守作業費用 × 運営主体
問い合わせ対応費用 × 運営主体
ホームページ関連費用 × 運営主体
通信回線利用料 × 運営主体
参加機関 各参加機関 VPN利用料 × 380千円/月 参加機関
通信回線料 × 参加機関
プロバイダ利用料 × 参加機関
iPad利用料 参加機関
※本表は事例共通表である。該当する費目がある場合は○、該当する費目がない場合は×を示している。
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料
(4) 運用費用の負担配分

運用費用は全て洛和会ヘルスケアシステムが負担している。

(5) 洛和会ヘルスケアシステム(山科医療介護連携ネットワーク運用部分)の収入

現時点では参加機関から会費を徴収していないため、平成27年度の洛和会ヘルスケアシステムの山科医療介護連携ネットワーク運用にかかる収入は特にない。地方自治体や医師会などからの助成も特に受けていない。

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