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ピックアップ事例

山科医療介護連携ネットワーク(平成27年稼働)
洛和会ヘルスケアシステム(京都府京都市)
075-593-4111 公式ホームページ

※平成29年2月時点(ただし、登録患者数や参加機関数は、平成28月9月末時点の情報を掲載)

全体概要

対象地域 京都府京都市山科地域(山科区)
構築時の主な関係者 洛和会ヘルスケアシステム
関係医療機関
介護事象者
地域医療連携システム基盤ベンダ
電子カルテ・レセコンベンダ
介護システムベンダ
費用負担
※構築費用はデータ出力対応費を含む
構築費用:
50,000千円
<負担者>
・総務省
・洛和会ヘルスケアシステム
運営主体の運用費用:
年間約5,040千円
<負担者>
・洛和会ヘルスケアシステム
規模 患者数: 1,186人
参加機関数: 16施設
※病院3施設
訪問看護ステーション11施設
診療所2施設
[平成28年9月末時点]
病病/病診連携以外のサービス 訪問看護ステーションとの連携サービス、患者の家族への情報提供サービス

概要

山科医療介護連携ネットワークは京都府京都市山科区を対象としている医療情報連携ネットワークである。山科医療介護連携ネットワークは、地域包括ケアシステム構築に向けて、医療従事者と介護従事者の連携促進を目的として、平成27年2月から稼働を開始した。

山科医療介護連携ネットワークは、医療機関の電子カルテや介護事業所から情報を収集したうえで、専用アプリケーションで医療従事者、介護従事者、患者家族などに情報提供を行っている。また、専用アプリケーションは職種別に用意、画面に表示する情報はそれぞれの職種にとって重要度の高い情報項目に限定している。山科医療介護連携ネットワークの運用により、職種間の情報共有および職種内でも情報共有とこのリアルタイム化が進み、ネットワークを通じた見守りにつながっていることは、間接的ではあるが患者・利用者の安心を生むなどの効果が上がっている。

図表:山科医療介護連携ネットワークの概要(※)
図表:山科医療介護連携ネットワークの概要(※)
出所:洛和会ヘルスケアシステム提供資料

※EHRは、医療機関の電子カルテシステムから医療情報を収集・蓄積する医療情報連携基盤を指す。CHRは、EHRや介護事業所から収集した情報を収集・蓄積する医療介護情報連携基盤を指す。

特徴

在宅医療介護の現場におけるニーズ(必要な情報に最短でアクセスできること、操作が簡便であることなど)を重視し、情報提供を行う専用アプリケーションを職種別に開発している点が特徴である。具体的には、職種別に画面構成や情報提供項目を設定するとともに、情報提供端末に信号を無線で発信する端末や生体認証を導入してログイン情報の手入力を不要とする方法でログインの簡便化を図った。

成功要因

山科医療介護連携ネットワークは、在宅医療・介護連携のキーマンである訪問看護師から、使いやすいシステムであるという意見が全体の約9割を占めたことに加え、システム導入後に残業時間が短縮される効果が見られた。

この背景には、過去の経験をふまえ、在宅医療現場にとって使いやすいシステム作りを徹底したことが挙げられる。

山科区では、山科医師会を運営主体とする医療情報連携ネットワーク(CoMet:Cooperative Medical Network、以下、CoMet)が構築されており、平成16年3月から稼動していた。医師会会員の9割が参加するという高い参加率を達成しながら、必ずしもICTによる連携に関心が高くない参加機関や、ICTを使いこなす知識・能力(ICTリテラシー)が高くない利用者が含まれており、医療現場が利用するには負担感があった。そのためCoMetの更改費用の負担に理解が得られなかったことなどから、CoMetは平成22年に運用を停止せざるを得なかった。

そこで、山科医療介護連携ネットワークを構築する際、CoMetの経験をふまえ、課題であった現場のICT利用の負担感の解消を重視し、在宅医療に関わる各職種に対してアンケートとヒアリングを実施した。これらの意見を反映させ、業務が多忙であり、かつICTリテラシーが必ずしも高くない利用者にとって使いやすく簡素なシステムを構築した。

ネットワーク構築時の苦労

医療情報連携ネットワークを構築する際に、ITベンダとの価格交渉に苦労した。

必要な作業内容を整理したうえで、各作業に必要な工数をIT ベンダに作成してもらい、工数の妥当性を打ち合わせで検討したところ、価格交渉が円滑に進んだ。また、過去に開発したシステムの費用などをふまえることで円滑に交渉を進めることができた。

運営主体からのこれから医療情報連携ネットワークを構築する方へのメッセージ

地域医療システムの成功の秘訣は「現場が望むこと」をシステム化し、「維持継続できること」である。

○システム設計
最初から全員が望む巨大なシステムを目指せば役者が多く、かつ高コストとなり成功しない可能性が高い。まずは1つの現場で効果判定し、それを横展開することで最終的には全体が満足する作り方が良いと考えている。今回、構築した山科医療介護連携ネットワークでは医療と介護の架け橋であり、かつ24時間365日勤務する「地域の守護神」である訪問看護師を選択してシステム化をおこなった。勿論システム設計当初から往診医師や訪問薬剤師、訪問リハビリスタッフ等への横展開を考えている。

○目的の設定
地域で使うITはさまざまな人が使うものでありゴールが設定しにくい。しかしゴールのないITは格好いいITにはなるかもしれないが結局現場に使われないし、投資効果の確認が出来ないシステムになりかねない。IT投資効果が予測できないITは無駄遣いである。また、なんでも出来るITを作ろうとすれば高コストとなり継続使用が困難となるためやってはならない。

○現場を知る
ではどのようにゴールを決めるのか。会議100回ではなく現場100回である。その地域の現場が望んでいないゴールを設定してはならない。したがって議論する者、システム構築する者は必ず現場の動きを観察し、現場の意見を聞き出し、困っていることを聞き出す機会が不可欠である。また、IT化の提案について意見を聞くことを忘れてはならない。例えばIT化で益を得る強者と入力を強要される弱者が生まれることとなる。現場を苦しめることは決して許されない。現場を知らない人が想像や話を聞いただけでIT化を進めてはならない。

○効果分析
地域ITを行った結果、最初に設定した目的を達成できたのかを確認しなければならない。つまり、IT化前のデータ、IT化後のデータ比較が不可欠である。

○継続可能システム
当然だが得られた効果(IT化価値=対価)に対して、維持費用が下回らなければそのシステムを継続使用することができない。したがって、システム設計当初から効果の予測が重要である。

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