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ピックアップ事例

ピカピカリンク(平成22年稼働)
佐賀県診療情報地域連携システム協議会(佐賀県)
0952-97-8286(ピカピカリンクヘルプデスク) 公式ホームページ

※平成29年3月時点
(ただし、登録患者数や参加機関数は、平成28年6月末時点の情報を掲載)

計画Step

1.地域課題、要求事項の抽出

(1)地理的特徴

佐賀県は九州の北西部に位置し、東は福岡県、西は長崎県に接し、南は有明海、北は玄界灘に面している。玄界灘には離島がある。10市10町で構成され、総面積約2,440m2、全国で6番目の小さな県である。

九州を南北に走る九州自動車道と東西に走る長崎・大分自動車道がクロスしており、福岡県、長崎県、熊本県は1時間圏内、九州全域および中国地方までは3時間圏内と交通の利便性が高い。また、鉄道は佐賀駅から博多駅まで特急で35分、長崎駅まで72分で到着するほか、山陽・九州直通新幹線「さくら」により鹿児島中央駅まで1時間10分、広島駅まで1時間19分、新大阪駅まで2時間49分である。その他、佐賀市内から北九州国際空港へは車で約22分、福岡港へは約54分など、九州主要都市や本州へのアクセスも良い。

佐賀県には、以下の図表に示すように、中部保健医療圏、東部保健医療圏、北部保健医療圏、西部保健医療圏、南部保健医療圏の5つの保健医療圏(以下、医療圏)がある。

図表:ピカピカリンクの対象地域(地理・交通) 図表:ピカピカリンクの対象地域
出所:佐賀県「佐賀県の道路2016」
図表:ピカピカリンクの対象地域(保健医療圏) 図表:ピカピカリンクの対象地域
出所:佐賀県「第6次保健医療計画」
(2)医療需要

佐賀県の人口は現在約84万人で、平成9年以降減少傾向にある(佐賀県統計年鑑(平成26年版))。二次医療圏別にみると、中部医療圏は約35万人、東部医療圏は約12万人、北部医療圏は約13万人、西部医療圏は約8万人、南部医療圏は約16万人である。

図表:各医療圏の人口(平成24年10月1日現在)
佐賀県 中部医療圏 東部医療圏 北部医療圏 西部医療圏 南部医療圏
843,485
350,973
123,589
131,754
77,103
160,066
出所:内閣府平成25年版高齢社会白書、第6次佐賀県保健医療計画より作成

平成22年現在で高齢化率は24.6%(全国23.0%)で全国平均を1.6ポイント上回っている。受療率(人口10万人あたり)は、入院1,610(全国1,068)、外来6,931(全国5,784)で、ともに全国の受療率を大きく上回っている(平成23 年の厚生労働省患者調査)。

第6次保健医療計画によると、医療圏別では自圏域内の受診割合が高いのは中部医療圏(入院85.5%、外来94.4%)と北部医療圏(入院86.5%、外来94.3%)であり、他の医療圏は県内の他圏域や他県への流出傾向がある。東部医療圏では福岡県へ流出している。西部医療圏では、特に入院治療が必要な患者の自圏域内受診割合が低く、南部医療圏および長崎県への流出が多い。南部医療圏では、概ね自圏域内の医療機関での受診がなされているものの中部医療圏への流出もみられる。

(3)医療供給

佐賀県は、医療機関数、医師数でみると全国平均を上回っているが、医師の地域や診療科の偏在がみられる。

第6次保健医療計画によると、佐賀県の病院数は110施設、人口10万人あたり13.0施設であり、全国平均の6.7施設を大きく上回っている。二次医療圏別にみても全ての医療圏において全国値を上回っている。診療所数は691 施設で、人口10 万人あたり81.6 施設(全国77.9施設)であり、医療機関は比較的充実している。

医師数は2,082 人(平成22年)、人口10 万人あたり245.0 人であり、全国平均219.0 人を上回っている。しかし、二次医療圏別にみると、全国平均を上回るのは中部医療圏、南部医療圏のみであり、特に西部医療圏は150.4 人と県内で最も医師が不足している。診療科別にみると、小児科および麻酔科は増加している一方、外科および産婦人科・産科・婦人科が減少している。

(4)医療課題

東部医療圏、西部医療圏、北部医療圏の圏域内の医師不足や偏在の解消、医師の養成・確保のほか、患者の受療動向から他の二次医療圏や隣県の医療機関との連携体制の推進が課題とされていた。特に、医療情報連携ネットワークシステムの検討を始めた平成20年当時、常勤医が不足している北部医療圏の離島やへき地に勤務する医師に対する専門医や中核病院による支援体制の強化が課題とされていた。

2.医療情報連携ネットワークの必要性の検討

佐賀県では、
・ 県内で不足する診療科への勤務を条件とする医師修学資金貸与(平成17年度より)
・ 卒業後、地域医療に必要な診療科で指定医療機関において一定期間従事することを条件とする佐賀県推薦枠(平成20年度より)
・ 地域枠定員の充実(平成21年度より)
などの医師確保の取組みを行ってきた。平成26年度の医師数は2,222人と平成16年度の1,883人に比べて18ポイント増加し、一定の効果を挙げている。

連携体制の推進、中核病院による離島やへき地の医療支援の課題を解決するため、平成20年度総務省「地域ICT利活用モデル構築事業(遠隔医療モデルプロジェクト)」に提案、同年12月に総務省プロジェクトとして採択されたことをきっかけに、医療情報連携ネットワーク構築に向けて検討を開始した。提案者は、佐賀県、佐賀大学、開示施設として佐賀大学医学部附属病院、佐賀県立病院好生館(現、佐賀県医療センター好生館)、白石共立病院の3病院である。

協議を行う組織として「佐賀県ICT医療連携推進協議会」を組成し、第一回佐賀県ICT医療連携推進協議会を平成21年1月に開催した。総務省のプロジェクトに提案した3病院で医療情報連携ネットワークをスタートする案を同会議で提案したところ、開示施設数が少ないという意見が出された。

これを受け、平成21年3月に第二回佐賀県ICT医療連携推進協議会を開催し、佐賀県全体に対象地域を拡大、開示施設を8病院とすることにした(運用開始までに1病院参加により計9病院)。これにより、南部医療圏を除く全ての二次医療圏の中核病院が開示施設として参加することになった。

8病院のうち、当時、院外に情報開示を行っていたのは白石共立病院のみであった。佐賀県ICT医療連携推進協議会では、佐賀県全体で同じプラットフォームで情報連携をすることをコンセプトとしたため、白石共立病院が採用していたID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)を採用、7病院にゲートウェイサーバ(閲覧施設からの開示要求に応じて開示用のデータを登録するための仕組み)を設置することにした。

図表:運用開始までのプロセス
日程 実施事項
平成20年12月 総務省地域ICT利活用モデル構築事業に採択
平成21年1月 佐賀県ICT医療連携推進協議会を設置し、第一回の会議を開催
平成21年3月 佐賀大学医学部附属病院、佐賀県立病院好生館(現佐賀県医療センター好生館)、佐賀社会保険病院(現佐賀中部病院)、国立病院機構佐賀病院、有田共立病院(現伊万里有田共立病院)、唐津赤十字病院、国立病院機構嬉野医療センターにゲートウェイサーバを設置
⇒開示施設は、白石共立病院と合わせて8施設へ
第二回佐賀県ICT医療連携推進協議会を開催
出所:佐賀県診療情報地域連携システム協議会提供資料より作成

3.事業概要の決定

(1) 事業立ち上げの目的(医療情報連携ネットワークの必要性)

 患者の受療動向から他の二次医療圏や隣県の医療機関との連携体制の推進が課題とされているところ、患者や家族を中心として、かかりつけ医、訪問看護師、ヘルパー、専門医、行政のネットワークを有効に機能させるために、必要な情報が過不足なく、円滑に伝達・共有することが不可欠であった。このため、中核病院の診療情報を診療所から参照する仕組みを構築することを目的として、医療情報連携ネットワークを構築することを決定した。

(2) 事業の全体像

医療情報連携ネットワークの対象地域は佐賀県全体とした。佐賀県が構築主体となって、県内の8つの病院を開示施設として、県内の閲覧施設と診療情報を共有することとした。

当初は診療所からの閲覧のみを認めていたが、薬剤師会などからの要望を受けた結果、現在は、閲覧施設として薬局、訪問看護ステーションも参加している。なお、白石共立病院のみ介護事業所からの閲覧を可能としている。

なお、以下については対象を限定するなどの運用を行っている。
・ 薬局は、薬剤師会からの推薦がある場合のみ参加を認める。
・ 訪問看護ステーションは、公的な経営母体の場合のみ参加を認める。
・ 介護事業所は、ピカピカリンクが構築される前から連携していた白石共立病院の情報の閲覧のみを認めている。なお、他の病院の情報の閲覧を認めるかは、白石共立病院の運用状況をふまえて、今後、検討することになっている。
機能面では、ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)の標準的な機能のほか、利用者情報を引き継ぐことで、検査予約システムやさがんパス.netへのログインを省略することで利用者の利便性向上を図っている(佐賀県医療センター好生館のみ平成28年5月から試験運用中)。

(3) 共有できる情報項目

図表の情報項目をすべて共有することが可能な機能を有しているが、いずれの情報を共有するかは開示施設が決めている。

前述の成功要因で挙げたカルテ記事医師記録の共有は、2015年4月より佐賀県医療センター好生館や国立病院機構嬉野医療センターが実施している。

図表:共有情報項目(佐賀県医療センター好生館の例)
(○…共有している、×…共有していない)
情報項目 情報の共有の有無
佐賀県医療センター好生館
患者基本属性
アレルギー情報 ×
病名情報 ×
カルテ情報 医師記載(2号用紙)
退院時サマリ
看護記録
看護サマリ
経過表(温度板) ×
手術レポート
文書情報
オーダ情報 処方オーダ
注射オーダ
検体検査オーダ
放射線検査オーダ
内視鏡オーダ
生理検査オーダ
入院オーダ ×
外出先オーダ ×
転科・転棟オーダ ×
退院オーダ ×
食事オーダ ×
担当医情報 ×
検査結果 検体検査結果
細菌検査結果
病理検査レポート
放射線画像
放射線レポート
エコー画像 ×
エコー検査レポート ×
内視鏡画像 ×
内視鏡検査レポート
生理検査結果 ×
生理検査レポート ×
心電図波形 ×
服薬指導情報
その他 入院期間
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会ヒアリング内容より作成
(4) アクセス制御

 職種による閲覧権限の設定は運営主体ではなく、開示施設ごとに行っている。開示施設では、共有情報項目ごとに閲覧できる職種を設定する運用としている。システム上で設定可能な職種は下記の図表のとおり多岐にわたっている。

図表:閲覧可能な職種
職種名
医師、歯科医師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、看護師、准看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、歯科技工士、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、救急救命士、精神保健福祉士、臨床工学技士、はり師、きゅう師、歯科衛生士、義肢装具士、柔道整復師、衛生検査技師、臨床心理技術者、介護支援専門員、その他の医療従事者、その他の介護従事者
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会ヒアリング内容より作成
(5) 多職種連携

ピカピカリンクの多職種連携の取組みとして、佐賀県医療センター好生館によるさがんパス.netと、白石共立病院による介護事業所との連携が挙げられる。

 

■ さがんパス.net

さがんパスnetは、脳卒中の地域連携パスを電子化する取り組みである。従来の脳卒中の地域連携パスは紙で運用されており、患者とともに地域連携パスが施設を移動するため困難であった。そのため、中部医療圏の中核施設である佐賀県医療センター好生館が中心となって地域連携パスの改訂時期に合わせて県下統一した仕組みとしてさがんパス.netを開発したことで、迅速な電子化が実現した。平成28年5月に佐賀県医療センター好生館と同病院が管理病院となっている患者および白石共立病院など、ピカピカリンクの参加機関のうち脳卒中の地域連携パスに関わっている施設を対象に限定した範囲で運用を開始している。これにより、データの集約化や、患者の現在の状況の把握が可能になった。

また、さがんパス.netはピカピカリンクとは別システムであるが、ピカピカリンクと連携することで患者基本情報も共有可能となっている。

現時点では一部施設における運用であるが、脳卒中の地域連携パスは佐賀県下において統一フォーマットで運用されているため、現在の範囲内で安定運用の見込みが立ち次第、全県展開を行う計画となっている。また、他の疾病の地域連携パスについてもフォーマットが統一された際には電子化可能な仕組みとなっている。


■ 医療介護連携

白石共立病院は、従来から患者の診療情報を地域の介護事業所に提供するとともに、介護事業所から患者の身体状態や生活情報の提供を受けるなど、地域の介護事業所と連携を行っていたが、平成20年から連携をより円滑にするためにID-Linkを活用した連携を始めた。

この流れを受け、ピカピカリンクでも、白石共立病院のみが介護事業所(7~8か所)との間で連携を行っている。なお、他の病院の情報の閲覧を認めるかは、白石共立病院の運用状況をふまえて、今後、検討することになっている。

白石共立病院の共有情報は介護事業所のケアマネジャーのみが閲覧可能である。具体的な活用シーンとしては、退院時期を確認することで介護事業所側の受け入れ準備を早期に整える、処方情報を確認して服薬管理を行うなどが挙げられる。また、ケアマネジャーによる医学管理の重要性の理解にも役立っているとの声もある。

4.事業運営主体の組織の設置

(1) 運営主体の組織

 平成21年8月に、運営主体として、佐賀県、佐賀県医師会、地区医師会、開示施設の代表者で構成される「佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会」を設置した。事務局は、佐賀県が担った。

図表:佐賀県診療録地域連携システム推進協議会の検討内容
日程 検討内容
平成21年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成21年12月22日)
  • 会長の選任について
  • 事業経過及び今後の予定について
  • 入会について
  • 同意書について
平成22年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成22年11月2日)
  • 患者同意の取得方法の見直しについて
  • 他県の医療機関との連携について
  • 薬局の本システムへの加入について
平成23年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成24年3月15日)
  • 久留米地区との連携について
平成24年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成25年3月13日)
  • 閲覧施設の拡大について
  • 久留米地区との連携について
平成25年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成26年3月18日)
  • 閲覧施設の拡大について
平成26年度佐賀県診療録地域連携システム推進協議会
(平成27年3月19日)
  • 運営に係る組織体制の見直しについて
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料より作成

構築段階では、各構成員の代表者を中心とする組織体制は合理的であったが、平成22年11月の運用開始後は医療現場における問題や解決策などの実務的な検討や決定において、共通認識の醸成や迅速な意思決定が難しいという問題が生じてきた。

そこで、平成27年3月、平成26年度佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会において、組織体制を見直し、開示施設の実務者を中心とする組織とすることを決定した。

平成27年8月に旧運営主体を廃止し、現在の運営主体である「佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会」を設置した(会長:佐賀県医療センター好生館林田副館長、副会長および運営管理者:佐賀大学高崎准教授)。組織体制変更に伴い、事務局についても佐賀県から会長所属機関である佐賀県医療センター好生館に移管した。これにより、医療現場の状況をふまえた検討の具体化、迅速な意思決定体制が実現した。なお、組織形態は任意団体であるが、安定的な運営を確保するため法人化を検討している。

また、参加機関からの問い合わせ対応(ヘルプデスク)と非参加機関への普及促進については、運用開始当初からNPO法人佐賀県CSO推進機構に委託している。中核病院が普及促進などに十分な時間を割くことが難しいため、普及促進組織が運営主体とは別に存在することで、参加機関の患者紹介先など、ピカピカリンクに参加してほしい医療機関に普及促進組織がアプローチするなど積極的な普及促進活動が可能な体制になっている。

図表:運営主体の検討経緯
日程 実施プロセス
平成21年8月 旧運営主体として「佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会」の発足
平成21年12月 平成21年度佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会を開催
(会長:佐賀県十時医療統括監)
平成22年3月 NHO国立病院機構東佐賀病院にゲートウェイサーバを設置
⇒開示施設は9施設へ
平成22年11月 ピカピカリンクの運用開始
平成27年3月 平成26年度佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会を開催し、運営主体の組織体制見直しを決定
平成27年8月 佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会を設置し、第一回会議を開催し、協議会設置要綱及び佐賀県診療情報地域連携システム運用規程を決定
(会長:佐賀県医療センター好生館林田副館長、副会長および運営管理者:佐賀大学高崎准教授)
平成28年4月 佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会事務局を、佐賀県から佐賀県医療センター好生館に移管
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料より作成
図表:ピカピカリンクの運営体制
図表:ピカピカリンクの運営体制
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料
図表:運営主体の組織構成
組織 構成員 機能 開催頻度
佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会 開示施設(13施設)、
佐賀県医師会、
佐賀県歯科医師会、
佐賀県薬剤師会、
佐賀県の実務担当者
ピカピカリンクの運用や普及促進、利活用にかかる調査・研究などに関する事項について審議、決定 年4回程度
NPO法人佐賀県CSO推進機構 専任職員3名 普及・推進
ヘルプデスク
(運営主体佐賀県から委託)
常設
※佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会事務局・・・佐賀県医療センター好生館の7名(兼任)で構成
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料、設置要綱より作成
(2) 地方公共団体の関与

 佐賀県は、平成20年度総務省地域ICT利活用モデル構築事業の提案をはじめ、佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会を設置し事務局業務を担うなど、構築に向けた検討を主導した。運用開始後は、運営主体の構成員として様々な支援(運営主体の運用費用などを含む)を行っている。

5.個人情報保護方針などの作成

佐賀県診療録地域医療連携システム推進協議会では、国で定められたガイドラインに準拠した個人情報保護方針、セキュリティポリシー、運用管理規程などを検討して、各種規程の策定を行った。先行事例として、同様の医療情報連携ネットワークを運用していた道南MedIka(北海道)、開示施設の中で唯一ピカピカリンク構築前から情報開示を行っていた白石共立病院を参考とした。

6.ガイドライン・標準規格などの確認

(1) ガイドラインの確認

システム化検討方針にあたっては下記のガイドラインを確認し、準拠した。

図表:参照したガイドライン一覧
# 文書名称
1 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイドライン」
2 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
3 総務省「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」
4 総務省「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」
5 経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会ヒアリングより作成
(2) 標準規格の確認

現在採択されている厚生労働省標準規格などに照らして採用している規格は以下の図表のとおりとなっている。患者ID管理や連携データの共有方法については、ID-Linkを採用している参加機関すべてが、地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0(PIX、PDQ、XDS.b)に準拠したものになっている。一方、各開示施設が個別に採用を検討するICD10対応標準病名マスターのようなコードマスターやSS-MIX2については、運営主体の方針により標準規格の採用を推奨してはいるが、実際に採用するかどうかは開示施設により異なる。

例えば、検査結果についてはJLAC10コードを推奨しているが、独自のコードを使っている開示施設が多い。JLAC10コードを採用すれば、異なる医療機関で実施した検査結果を一つのグラフで見ることができるため、運営主体では標準規格採用を進めたいと考えている。一方、全項目に標準規格を採用すると負荷が大きいため、主要な項目に絞って標準規格を採用することも運営主体で検討している。

図表:採用している規格一覧
規格採用範囲 規格内容
患者ID管理 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
(PIX,PDQ)(厚生労働省標準規格)
連携データの共有方法 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
(XDS.b)(厚生労働省標準規格)
利用者認証 ID及びパスワード
連携データの保存形式 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン
(厚生労働省標準規格
コードマスター
 ・病名コード 独自
 ・処方コード 独自
 ・検査コード 独自
 ・画像 医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)
(厚生労働省標準規格)
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料より作成

7.システム化方針決定

システム化に当たっては、大学の医療情報部准教授がプロジェクトリーダーとなり、検討を進めた。

 具体的には、電子カルテについては、開示施設となる病院の電子カルテシステムのベンダを調査したところ、株式会社シーエスアイ、富士通株式会社、日本電気株式会社、株式会社日立メディコ、株式会社ソフトウェアサービスその他様々なベンダの製品で運用していることが判明した。異なるベンダによるシステムから等しく情報を収集、共有できる仕組みを構築することが必要であった。そこで、当時、先行して医療連携を開始していた白石共立病院が採用していた地域医療連携システムID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)を全開示施設で採用することを決定した。

このように、異なるベンダによる電子カルテシステムや画像システムからデータを出力するマルチベンダ接続、業界標準仕様・技術を採用した。

8.事業計画・収支計画立案

(1) 構築費用

ピカピカリンクの事業費は、126,881千円である。主に開示施設のゲートウェイサーバの設置費用である。

(2) 構築費用の負担配分

総務省地域ICT利活用モデル構築事業の予算により、総務省の負担が全事業費の約半分、残りの半分は各開示施設が負担した。当初、総務省事業の予算による開示施設への全額補助を想定していたが、検討過程において対象地域を佐賀県全域に拡大することにした結果、開示施設数が増えたため各開示施設が半額を負担することになった。

(3) 運用費用と負担配分

佐賀県からの年間約18,492千円の補助により運用している。主な使途は、定例会開催、勉強会開催、佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会開催、ヘルプデスク業務である。参加機関からの会費は徴収していない。

ただし、開示施設は自院のID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)サービス利用料(病床数に応じた価格)、VPN利用料、通信回線料、閲覧施設はVPN利用料、通信回線料、プロバイダ利用料を負担している。

新規の閲覧施設に対しては、VPN初期費用(機器、初期登録費用、設置作業費用)84,000円を佐賀県が補助事業として負担している。

図表:ピカピカリンクの運用費用(平成27年度)
費目 費用 負担者
該当/非該当
金額
運営主体 会議費用 18,492,235円/年 佐賀県
人件費 ×
事務局諸費用(消耗品費、通信費など)
システム改修費用 ×
システム
運用費用
システム運用保守作業費用
問い合わせ対応費用
ホームページ関連費用
通信回線利用料 ×
参加機関 開示施設 ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)サービス利用料 80,000円/月(300床以上の病院)
50,000円/月(200床以上300床未満の病院)
20,000円/月(200床未満の病院)
開示施設
VPN利用料(常時接続) 6,000円/月 開示施設
通信回線料 各施設による 開示施設
閲覧施設 VPN利用料(オンデマンド) 980円/月 閲覧施設
通信回線料 各施設による 閲覧施設
プロバイダ利用料 各施設による 閲覧施設
※本表は事例共通表である。該当する費目がある場合は○、該当する費目がない場合は×を示している。
出所:佐賀県診療情報地域連携システム協議会提供資料より作成
図表:運営主体の歳入(平成27年度)
費用 歳入 負担者
該当/非該当
(※)
金額
利用料金 開示施設 ×
閲覧施設 ×
自治体助成(佐賀県) 18,492千円 佐賀県
繰越金 ×
※本表は事例共通表である。該当する費目がある場合は○、該当する費目がない場合は×を示している。
出所:佐賀県診療情報地域医療連携システム協議会提供資料より作成
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