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さどひまわりネット(平成25年稼働)
NPO法人佐渡地域医療連携推進協議会(新潟県佐渡市)
0259-63-6376 公式ホームページ

※平成29年2月時点

運用step

1.運用に向けた文書作成

佐渡地域医療連携推進協議会では以下の書類を作成した。佐渡地域医療連携推進協議会事務局で素案を策定、ネットワークシステム検討委員会での検討を経て、理事会で承認した。

図表 作成した主な文書類
種類 規程名
運用
  • ・特定非営利活動法人佐渡地域医療連携推進協議会定款(公開)
  • ・施設参加・利用規約(公開)
    • ・施設退会申請書(公開)
    • ・施設情報変更申請書(公開)
  • ・関連機器利用規程(公開)
    • ・関連機器設置申請書(公開)
  • ・佐渡地域医療連携ネットワークシステム運用管理規程(非公開)
  • ・賛助会員規程(公開)
  • ・広告掲載規程(公開)
  • ・医療・介護支援サービス連携規約(公開)
  • ・視察・取材申込書(公開)
個人情報の管理
  • ・患者情報取扱い規約(公開)
  • ・施設参加・利用規約(公開)
  • ・佐渡地域医療連携ネットワークシステム運用管理規程(非公開)
同意
  • ・患者情報取扱い規約(公開)
  • ・診療情報等の提供に関する同意書(公開)
    • ・同意撤回届(公開)
    • ・同意内容変更届(公開)
  • ・除外施設設定申請届(公開)
申込
  • 施設参加・利用規約(公開)
    • ・施設参加申請書(公開)

2.システム運用保守体制決定

(1) システム保守内容

データセンタ保守は開発ベンダ(兼保守事業者)と契約し、自動化の徹底と運用保守費用の低廉化を目指した設計とした。

また、さどひまわりネットが停止しても医療・介護業務はとまることはないため、保守対応窓口受け付けは営業日日中のみとした。

保守期間は通常は保守期限を決めないことが一般的と思われるが、さどひまわりネットでは保守期間を10年に限定した。これにより、ベンダがリスク分を保証費に加える必要がなくなり、保守対応窓口受付時間の制限と相俟って保守料金の低減を図った。

端末・プリンタ・VPNルータなど参加機関側の機器については、保守対応窓口受付時間の制限と相まって保守事業者のコールセンター受付を介し地元IT関連企業に対応を委託、または事務局側でメーカー保守対応としている。

(2) 問い合わせへの対応方針

問い合わせ対応は、稼働時に専従職員を配置する「事務室」を設置したが、業務量が想定以上に多く、コールセンターを持つ保守事業者へ一部外部委託とした。

運用コストの低減は重要であり、設計段階で十分に検討し、要件定義に組み込むべきである。それでも想定以上の事務業務が発生するため、事務担当者の十分な確保が求められる。業務量・対応内容を考慮すると、受付窓口とその後の対応力を持った企業などに外部委託した方が、費用・作業・結果など総合すると利点が大きいと考えている。

3.参加機関の募集・説明・契約

(1) 参加機関の募集方法

島内の病院、医科診療所、歯科診療所、薬局、介護提供事業者を集めた説明会を3回開催した。説明会では、「さどひまわりネット」の機能の説明と利用料を提示して参加を募った。初回説明会は平成24年7月に開催し、ネットワークシステム検討委員会委員長がシステム概要を、開発ベンダーが画面サンプルを説明した。第2回では運用主体構成、自立運用の方針を説明、利用料案を提示し、意見を募った。寄せられた意見を参考に利用料を決定して第3回説明会で提示、提示利用料をもって参加機関を募集した。高額の利用料にも関わらず、島内対象期間の6割から参加意思を得ることができた。佐渡総合病院では、診療対象患者が特に多く、唯一の二次医療提供病院であるものの、非常に高額な利用料負担となった。当時の病院管理側が必要性を理解し、負担を承諾したところが大きい。

(2) 参加機関への教育、訓練

稼働前に参加機関を個別に訪問し、参加機関の施設内において操作研修を実施している。システム構築に際し、本番環境とは別にテストを含めた開発環境も作られたが、稼働後は廃棄せずに「練習環境」として再利用すべく利用者に開放した。

ただし、そもそも利用マニュアルを要しない直観的なインターフェースを準備したことで、基本的な操作は短時間で習得可能であった。

また、仕組みや機能を参照できるWebサイトを作成して公開している。その他、便利な機能や効果的な利用方法などを、紙媒体のニュースレターにまとめて紹介している。

このほかの取組みとして、さどひまわりネットの活用方法について意見交換できる「ユーザー会」を開催している。ユーザー会はさどひまわりネット利用者に限らず参加でき、日頃の事例や相談などシステムを離れた話題もとりあげられ、“顔見知り”になる有用な機会となっている。

教育・訓練後にも発生する課題として、ログインできない、パスワードを忘れた、患者が登録されていない、機器が故障したなど様々なトラブルが日常的に発生している。これらについては、コールセンターと契約することで対応している。

(3) 参加機関数

参加機関は75であり、佐渡市内にある医療機関に占める参加機関の割合は、病院が100%、その他施設が56%である。

図表:参加機関数(平成27年7月1日現在)
機関種別 参加機関数/機関数 参加率
病院 6/6 100%
その他参加機関 72/128 56%
・医科診療所 14/21 67%
・歯科診療所 6/23 26%
・薬局 12/20 60%
・介護事業所 37/57 65%
出所:佐渡地域医療連携推進協議会提供資料より作成

4.設備工事・導入

1. コンサルタントにより、参加機関が使用している医事会計システム(レセコン含む)、検査システム、画像機器・画像管理システム、電子カルテ、薬局システムを調査、各機器のベンダに協力を依頼した。依頼内容は下記の通り。

  • ・さどひまわりネット仕様に準拠した形でデータを出力できるか、
  • ・出力できない場合は、各機器に保存されるデータの様式と場所
  • ・機関内LANへの機器接続

2. コンサルタントは上記情報を元に、情報収集に関する収集端末の設定と各機器との接続を行った。

3. 開発ベンダは参加機関のインターネット環境と機関内LANを調査、必要に応じてインターネット回線契約および機関内LAN整備を参加機関に依頼した。LAN整備については開発ベンダも支援を行っている。

4. 開発ベンダとコンサルタントは上記整備・構築を行い、データ収集を検証、導入を完了した。

5.参加患者募集

(1)同意方法

さどひまわりネットへの同意方法は、同意時点で同意書別紙「佐渡島内医療機関・介護一覧」に掲げる全ての参加機関が情報を共有、参照することに対する一括同意方式である。個人情報の取り扱いについては、その提供と参照のいずれも対象となる個人の同意が原則である。しかし、患者が利用している医療・介護施設と今後利用する可能性がある施設のすべてに対して患者側が個別に同意することは非常に煩雑であり、情報が共有されなければ多施設・多職種連携は開始できないことから一括同意方式とした。加えて、同意後に施設が参加した場合、あるいは新規開業があった場合でも同意範囲としている。当然ながら、同意範囲について説明を行った上で同意を取得している。なお、一括同意方式は医療・介護従事者の守秘義務を前提としており、利用規約でも改めて規定している。

ただし、患者が、ある施設が保有する自分の情報を提供してほしくない、あるいは特定の施設には共有してほしくない、を希望する場合は申請により一括同意の対象外とすることができる。具体的には、同意書に「共有除外施設および情報アップロード除外施設」の設定を希望するかどうかの回答欄を設けている。

また、同意撤回申請を提出することで、いつでも同意を撤回することができる。

(2)同意取得フロー

参加機関において、医師・看護師、ケアマネージャなど患者担当者がさどひまわりネットについてパンフレット等を用いて説明する。次いで患者情報取扱い規約について説明し、同意可否を確認する。患者情報取扱い規約など詳細な説明は事務担当が行う場合もある。患者は同意書に自筆で記入、参加機関に渡すか佐渡地域医療連携推進協議会へ郵送する。参加機関が取得した同意書は佐渡地域医療連携推進協議会事務局へ送られ(後納郵便を利用)、原本は佐渡地域医療連携推進協議会で保管する。同意を撤回する際は、撤回書をいずれかの参加機関に提出する。

(3) 参加患者数

参加患者は15,079人(平成28年9月1日現在)であり、佐渡市人口比約26%と高い参加率を達成している。

そのための工夫は2点ある。1点目は、同意取得を事務スタッフ任せにせず、医師等責任ある立場の者が患者に勧奨する(少なくとも一声かける)運用としたこと。

2点目は、稼働時点で参加率10%に相当する6,000人の同意を取ることを目標に同意取得に尽力したことである。参加率10%は、これ以降は口コミで広がることが期待できる目安と考えた。参加機関の医師などが非常に協力的で、熱心な同意取得を行ったことで目標を達成できた。一部の医師は患者本人だけでなく、家族にも参加勧奨を行ってくれた。

6.評価・課題整理

(1) 満足度の把握状況

さどひまわりネットでは、参加機関や患者の満足度のアンケート調査は特に実施していない。満足度は主観であるため、設問やタイミングで大きく異なると考えているからである。

コールセンターや事務室への連絡、各施設を訪問した際の意見などを参考にしている。

また、連携がしやすいよう顔が見える関係を構築する目的で、ユーザーが任意に集まり、お互いの業務での困りごとや相談ごとを共有する「ユーザー会」を年間3~4回開催している。毎回40人から50人が集まり、ニーズを確認したり、グループワークなどにより、さどひまわりネットの課題や解決策、有効な利用法などをくつろいだ雰囲気で話し合っている。

ユーザー会ではシステム更新に向けて追加したい機能やサービス案の意見が出ることもあり、貴重なユーザー情報収集の場となっている。さどひまわりネットの次期バージョン機能の2割程度はユーザー会で出た意見をふまえている。

図表:運用開始後の利用者の主な意見
ユーザー 意見
患者
  • ・もっと早く実現できていればよかった
  • ・重複検査がなくなり、便利である
医師
歯科医師
  • ・治療上問題となる病名や処方内容がわかる
  • ・重複処方を発見できた、無駄な検査を省ける
  • ・紹介状に書かれていない情報を把握できる
  • ・健診データを含めて経過を把握できる
  • ・病院に紹介した患者の画像や治療内容がわかる
  • ・情報を見られないと“がっかり”する、不安になる
  • ・ケアマネジャーからの連絡で診療を中断しなくてよくなった
看護師
  • ・初診患者、救急患者の情報を入手し、担当医に伝えられる
  • ・退院時カンファレンスに応用したい
  • ・癌患者の外来管理に介護と連携できないか?
薬剤師
  • ・初診患者、救急患者の情報を入手し、担当医に伝えられる
  • ・退院時カンファレンスに応用したい
  • ・癌患者の外来管理に介護と連携できないか?
介護事業所
  • ・医療情報がわかって安心:とくに処方
  • ・介護・介護連携にも応用したい
ケアマネジャー
  • ・ケアプランの送付をオンラインでできる:手間と経費削減
  • ・担当患者について主治医とコミュニケーションが取りやすい
  • ・退院前ケアカンファレンスの事前準備ができそうだ
出所:佐渡地域医療連携推進協議会提供資料
(2) ネットワークの利用状況

利用状況については、ログイン数のみ把握しており、毎月1,000~1,100件で推移している。

(3) 周知、広報

さどひまわりネットの普及に向けた主な周知、広報は以下の内容を実施している。

  • ホームページの開設
  • 住民向けに各地域の集まりや健診会場、イベントなどで広報
  • パンフレットを参加施設や佐渡市役所に配布
  • ニュース(年4回)の参加施設への配布
  • 非参加機関を含めたユーザー会(年3~4回)の開催
(4) 医療連携以外への活用(二次利用)

さどひまわりネットで収集するデータの二次利用は極めて重要と位置付けている。徳島大学医学部の研究(新規糖尿病薬とその効果・副作用に関する調査)に対し、匿名化したデータを提供して協力している。今後は二次利用方法の提示、研究材料としての提供を積極的に検討、実践していきたいと考えている。

図表:連携データの二次利用の可能性
図表:連携データの二次利用の可能性
出所:佐渡地域医療連携推進協議会提供資料
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