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ピックアップ事例

さどひまわりネット(平成25年稼働)
NPO法人佐渡地域医療連携推進協議会(新潟県佐渡市)
0259-63-6376 公式ホームページ

※平成29年2月時点

全体概要

対象地域 新潟県佐渡市
構築時の主な関係者 佐渡医師会
佐渡歯科医師会
佐渡薬剤師会
佐渡市
関係医療機関
佐渡保健所
費用負担
※構築費用はデータ出力対応費を含む
構築費用:
1,621,250千円
<負担者>
・新潟県(平成21年度地域医療再生基金)※全額負担
運営主体の運用費用:
43,900千円
<負担者>
・参加機関
規模 参加患者数: 約15,000人
参加機関数: 75施設
※病院6施設
医科診療所14施設
歯科診療所6施設
薬局12施設
介護事業所37施設
[平成29年1月15日現在]
※全ての参加機関が開示施設となる双方向連携
病病/病診連携以外のサービス 医療-介護連携、健診結果連携

概要

さどひまわりネットは、新潟県の二次医療圏のひとつである佐渡医療圏を対象とした医療情報連携ネットワークである。この圏域では、高齢化率が約40%に達する超高齢化、急性期病院不足、診療所の偏在、医師不足、医療機関までの交通手段が乏しい地域の存在など多くの課題があることから、限られた資源の中、従来と同等の医療・介護サービスを維持することを目的として、さどひまわりネットを構築し、平成25年4月に稼働した。

さどひまわりネットは多職種連携を前提に構築されており、病院、医科診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業所が情報を双方向で共有する仕組み(検査会社、健診機関からは情報提供のみ)である。多職種のコミュニケーションを重視して掲示板、メール、ファイル共有などコミュニケーション支援ツールも充実させている。

図:さどひまわりネットの概要
図:さどひまわりネットの概要
出所:佐渡地域医療連携推進協議会提供資料

特徴

超高齢化が進む佐渡市において「介護抜きには連携は語れない」いう考え方のもと、施設規模にかかわらず双方向で医療と介護の情報共有を実現している点が特徴である。このため、レセプトコンピューター(以下、レセコン)や検査システム、薬局システムなどの既存機器から情報を自動収集できる機能を実装している。また、検討当初から介護関係者も関与しており、医師、看護師はもちろん、ケアマネを含めて「判断を必要とする」職種に十分な参照権限を付与する設計、運用を行っている。

高い住民同意率も特徴で、佐渡市の住民(6万人弱)の25%がさどひまわりネットに参加している。さどひまわりネットで閲覧できる対象患者が多いことから、医療機関のさどひまわりネットへの参加率も高く、島内127施設のうち75施設(59%)が参加している。さどひまわりネットの利用により、他施設の受診状況、投薬内容や検査結果を把握でき、重複投与などのリスク回避に有用であるほか、コミュニケーションツールを介した関係者間連絡が容易となった。また、ユーザー会の開催によって“顔見知り”となる機会が得られ、コミュニケーションしながらの協働が行われつつある。

成功要因

医師中心になることが多い構築過程において、介護関係者を含む多職種が対等な立場で検討する体制を構築した。また、明確なビジョンを掲げつつ、立場にかかわらず意見が言えるような環境を整備し、合意形成を進めた。これにより、医療・介護サービスの維持に対する危機感や、医療情報連携ネットワークの必要性を関係者間で共有するとともに、医療情報連携ネットワークの価値は情報そのものではなく、情報に基づくコミュニケーションであるとの考え方の徹底に成功した。この結果、「あれば便利」として膨らみがちなシステム機能やサービス、共有する情報項目をコミュニケーションに必要な最小限に絞り込み、参加機関にとって利用しやすい医療情報連携ネットワークの構築につながった。

ネットワーク構築時の苦労

電子カルテを前提としないシステム構築という画期的な事例であったこと、そのため、参加機関が利用しているレセコンや検査システム、薬局システムなどの既存の機器から情報出力するために協議が必要となったベンダ数が29にのぼったことから、システム構築の検討やベンダとの調整に苦労した。検討の中心メンバーが医療現場に立ちながらこれらの検討を進めるには時間が足りなかったため、コンサルタントの支援を受けて対応した。

自立運営を基本方針としていたため、参加機関が負担する利用料は他の事例と比べて高額となっている。医療情報連携ネットワーク構築の目的、考え方や機能を説明し、参加機関の意向を聞きながら利用料金体系を検討、最終案の提示を経て参加してもらうプロセスを踏んだ。今後は、運用コスト低減を図るため、同じ開発ベンダのシステムを採用している複数の地域でデータセンタを共有し、保守運用費を削減する方針でシステムを更新する計画を進めている。

運営主体からのこれから医療情報連携ネットワークを構築する方へのメッセージ

連携とは、関連者が共有した情報を「ネタ」にコミュニケーションしながら協働作業を実践することです。ICTシステムの導入は情報基盤の整備に過ぎず、システムの意義は協働への機会提供にあるという認識を持つことが重要です。

医療情報連携ネットワーク構築は連携体制の構築そのものであり、ICTシステム搭載機能の選択に関する協議もその一環です。導入コストばかりに目をとらわれることなく、以下の点に留意することが必要です。

  • ・利用する主体は誰か。
  • ・利用する主体が必要とする機能はなにか。
  • ・最低限必要な機能は何か。コストをかけてでも搭載したい機能は何か。
  • ・「あれば便利」な機能は捨ててよい。「詳細は問い合わせる」ことが重要である。
  • ・緊急時は電話等従来からの連絡手段をとり、システムに依存しない。
  • ・継続性は機能に優先する。人的資源を含む維持コストを考慮し、持続可能な機能と体制はどのようにあるべきか。

また、上記を協議できるプロジェクトチームを構成する必要がありますが、以下の留意点があります。

  • ・異なる立場での合意形成が重要であり、多職種で構成する。
  • ・医師に偏らないこと。医師は「治療のスペシャリスト」であるため、むしろ連携に直結する看護師・MSW・介護関連者が中心となることが望ましい。
  • ・対象が地域である以上、行政の参加も欠かせない。
  • さらに、医療・介護のニーズ、提供体制は地域によって大きく異なるため、システム調達、構築時は以下の点に留意してください。

    • ・十分な協議による要件定義が必要。安易な価格優先の競争入札は利用側・受注ベンダ・地域住民いずれにも良い結果をもたらさない。
    • ・プロジェクトチームには受注ベンダも参画する。チームの役割は現場と開発側をつなぐことと認識し、現場の要望・受注側の都合の妥協点を見つけていく立場で。

    連携とは協働作業の実践であり、コミュニケーションが前提となります。「知らない人には電話をかけにくい」ことから、ICTシステム導入以上にICTを離れた「オフ会」の開催が有用です。積極的な関係構築の機会を設けるべきです。

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