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ピックアップ事例

晴れやかネット(平成25年稼働)
一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会(岡山県岡山市)
086-259-2077 公式ホームページ

※平成29年2月時点
(ただし、参加機関数は平成28年10月末時点、登録患者数は、平成28月11末時点の情報を掲載)

運用Step

1.運用に向けた文書作成

運用に必要な文書類は、先行事例(あじさいネット(長崎県)など)などを参考に、医療ネットワーク岡山協議会の事務局が案を作成、運営委員会において検討を行い、理事会の承認を得て決定した。

図表 作成した主な文書類
種類 規程名
運用
  • 設立趣旨書
  • 定款
個人情報の管理
  • 個人情報保護方針
  • セキュリティポリシー
  • 運用管理規程
同意
  • 施設間同意の同意書(説明書・撤回書含む)
  • 施設間同意の同意書(開示施設が取得する同意書/Push型)(説明書・撤回書含む)
申込
  • 入会申込書
  • 情報公開範囲の調査票
  • 設置工事に関する事前調査シート
  • 変更届
  • 退会届
  • 委任状
  • アクティブ会員候補者選定届、異動届
  • 役員など立候補届け
  • 利用中断届
  • ID・パスワード再発行届
  • 機能限定職員ID、職員IDの抹消届
  • 院内インストラクター登録申請書
  • 院内インストラクター講習会開催申請書
  • 広域連携事業利用登録申請書
  • 同意書件数報告書(開示施設のみ)
マニュアル
  • 運用マニュアル
  • 閲覧施設での同意書の運用方法
  • 運用説明会用資料
出所:晴れやかネットホームページより作成

2.システム運用保守体制決定

会員からのシステムの問い合わせに関しては、基本的に運営主体の事務局を介さず、すべてNTTデータヘルプデスク(24時間/365日)が一次受けし、質問事項を担当会社ごとに振り分けたうえで、各社より会員へ直接回答を行う体制を確立している。運営主体の事務局を介さなかった理由は、問い合わせ内容から問題がどの部分にあり、対応すべき範囲がどこであるのかという切り分けを行うことが難しかったためである。例えば、利用者からは「画面が真っ白で固まって見られない」という問い合わせがあった場合、一次受けの確認事項を1つ1つ確認しながら、どのシステム(地域医療連携システム、ポータルサイトなど)に問題があるのか切り分けをする必要があり、一定以上のシステムに関する知識が必要となる。

図表:一次受けの確認事項(例)
  • IP VPNは接続されているか。
  • 晴れやかネットへログインはできているのか。
  • 利用しているPCのOSはなにか。
  • インターネットのブラウザは何か。
  • 画面が固まっている場合は、どの画面が固まっているのか(ポータルサイト、ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)、Humanbrige(富士通株式会社))
  • データが取得できない場合は、どの病院のどの患者のいつ時点のデータであるか。
出所:医療ネットワーク岡山協議会インタビュー結果より作成

また、システム保守業務は平日日中対応とし、HumanBridge(富士通株式会社)に係る保守業務内容は富士通株式会社、ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)に係る保守業務は株式会社エスイーシー、ポータルサイトに係る保守業務内容は株式会社両備システムズが実施している。

図表:問い合わせ対応のイメージ
問い合わせ対応のイメージ
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

3.参加機関の募集・説明・契約

(1) 募集方法

運用開始の3ヶ月前より下記の周知・広報活動を実施し、当初、県の目標としていた閲覧施設150を超えて、159の応募があった。続けて3回の募集を行い、約300の応募があった。

また、薬剤師会からも参加の要請があり、100以上の応募があり、現在は約430の参加数となっている。

  • 県内7会場で医療機関に対して晴れやかネットへの参加を呼びかける説明会を実施(岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会の三者協働)
  • 医師会報を利用した周知活動
  • 晴れやかネットホームページの開設
  • 地元テレビ局で晴れやかネットを特集した番組を放映(全10回)
  • 地元ラジオ局で定期的に晴れやかネットを活用している医師を紹介
  • チラシの作成・配布
図表:医療機関向け募集説明会参加人数(平成24年11月~12月)
開催日 会場 診療所 病院 行政
施設数 人数 施設数 人数 施設数 人数 施設数 人数
11月8日 岡山 1 2 55 131 1 3 57 136
11月9日 高梁 12 12 11 16 2 2 25 30
11月13日 倉敷 72 88 24 54 2 2 98 144
11月19日 岡山 76 105 29 53 3 4 108 162
11月21日 津山 14 17 11 18 1 1 26 36
11月27日 真庭 6 7 8 17 1 3 15 27
12月1日 岡山 39 46 19 31 0 0 58 77
219 275 102 189 9 12 330 476
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:晴れやかネット特集の放映内容
晴れやかネット特集の放映内容
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

また、参加機関が円滑に手続を進められることを目的として、利用マニュアルを作成した。主な構成内容は以下の通りである。

  • 晴れやかネットの利用まで(参加機関になるまでの手続)
  • 機器の設置
  • 利用の中断(参加機関が参加を中止する手続)
  • 閲覧の対象となる患者の登録
  • 患者の登録状況などの報告
  • 同意の撤回
  • 機能の限定利用(診療情報共有以外の機能を利用する場合)
  • システム障害時の連絡と対応
  • セキュリティについて(利用者の制限、定期的なパスワードの更新など)

<晴れやかネット利用マニュアル> http://hareyakanet.jp/pdf/2/manyuaru-Ver.2.80.pdf

(2) 参加機関への教育、訓練

医療情報を参照する利用者には全員運用講習を義務付け、本システムの基本的な取扱い、セキュリティ、IDの管理などの重要事項および同意書の取り方、画面参照方法などを中心に直接指導を実施している。

平成25年度は86回、平成26年度は24回、平成27年度は43回の運用講習会を実施した。講習は、運営主体の事務局職員や医療ネットワーク岡山協議会会長が委嘱したインストラクターが行っている。

当初は医療ネットワーク岡山協議会の事務局職員が参加機関から参加者を募り、運用講習会を実施していた。しかし、以下のような課題が発生していた。

  • 診療に多忙ななかで、医師などが院外に外出して講習を受ける時間を割けない
  • 参加機関によって同意書様式の患者への示し方や同意書の集約方法などが異なっており、事務局では説明できない院内ルールが存在する場合がある
  • 参加機関や参加機関内での登録利用者の拡大に伴い運用講習会の開催回数が増えており、事務局職員のみでは対応しきれない

そこで、参加機関内で任命を受けた利用者が、自施設において講習会を実施する「院内インストラクター制度」を導入した。このほか、ポータルサイトで利用可能なシステム操作ガイドの作成、必要に応じて施設を訪問して運用場所でのマンツーマンでの指導などを行っている。

図表:院内インストラクター制度の概要
院内インストラクター制度の概要
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
図表:システム操作ガイドの例示
全県協議会と各医療圏協議会の関係性
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(3) 参加機関数

平成28年10月末現在で、118病院、197診療所、109薬局、5介護老人保健施設の合計429施設が晴れやかネットに参加している(ケアキャビネット参加機関を除く)。

病院の参加率は県内全病院の7割弱に上っており、また薬局の参加数は全国一である。開示施設については51施設(県内病院の約3割)と全国一の施設数を誇っている。

参加機関を地域別にみると、県南地域(特に岡山市、倉敷市)に参加機関が集中している。また参加機関の種別の内訳は、診療所が50%、病院が26%、薬局が23%、老健施設が1%である。

図表:参加機関数(平成28年10月末現在)
開示/閲覧 機関種別 参加機関数
開示施設
(51施設)
病院 51施設※
閲覧施設
(426施設)
病院 115施設
診療所 197施設
薬局 109施設
介護老人保健施設 5施設
※開示51施設のうち、48施設は、閲覧施設としても参加
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:参加機関の分布と割合
参加機関の分布と割合
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

4.設備工事・導入

参加機関において登録された利用者が運用講習会を受講した後に、利用IDとパスワードが発行され、設置事業者が参加機関への機器の設置工事およびソフトの導入、システムの動作確認を実施した。

5.参加患者募集

(1) 同意取得
1)同意方法

同意方法は閲覧施設ごとに同意する施設間同意である。当初は、同意書の同意範囲は、参照する施設に一人の医師を指定する医師単位の個別同意で運用していた。

しかし、医療機関においては指定した医師以外が患者を担当し、情報を参照する必要が生じることは頻繁にあることから、閲覧施設内の登録利用者全員に情報が開示される施設単位での同意を求める意見が多く寄せられた。運営委員会にて協議を行い、平成27年11月11日の理事会において施設単位の同意形式が承認され、システム改修、運用の見直しなどを進め、平成28年7月1日より施設間同意の運用を開始した。

同意方法の変更にあたり、既に同意をした患者の同意を取り直すかどうかを検討したが、膨大な労力となるため、当該患者については既存の同意方法で運用し、同意期限後の更新時に施設同意について同意を取得することとした。

図表:同意方法
同意方法
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
2)同意取得フロー

医療ネットワーク岡山協議会で定めた同意説明書、同意書、同意撤回書に基づき、各参加機関で患者からの同意を取得した。具体的な手順は、

  • ① 閲覧施設にて同意書を取る場合
  • ② 開示施設にて同意書を取る場合(Push型)

の2種類を想定して取得フローを定めた。なお、②の同意取得が進んだ結果、毎月安定的な件数の同意書を取得できるようになった。

※Push型

データの保有元である開示施設において転院先が判明した時点で、相手先に事前に公開設定しておくことを指す。通常の同意取得では、患者が転院してきてから、転院先の病院において患者同意を取得し、FAXで開示施設に伝達して公開を依頼するというプロセスとなっているが、それよりも早く公開されれば準備ができ、治療の継続に有効に働く可能性がある。

図表:患者同意取得フロー
患者同意取得フロー
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
図表:患者同意取得フロー
患者同意取得フロー
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(2) 参加患者数

平成25年1月より同意取得を開始し、取得開始後3年半(平成28年6月)に同意患者は1万人に達した。現在は、毎月約350人の患者から同意を取得し、平成28年11月末現在で参加患者数は12,166人である。

図表:参加患者数の推移
参加患者数の推移
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

6.評価・課題整理

(1) 満足度の把握状況

晴れやかネットの評価・課題を整理するため、運用開始から1年半経過した時点で、全参加機関を対象に、アンケート調査を実施した。アンケート項目は下記の通りである。

  • 晴れやかネットをお使いになる頻度を教えてください。
  • 晴れやかネットをお使いになって役立つことがありますか。
  • 晴れやかネットでどのような情報を利用しますか。
  • 晴れやかネットを利用していることで患者に喜ばれたことはありますか。
  • 晴れやかネットをお使いになって不満に感じる点を教えてください。
  • 晴れやかネットにどのような情報があれば利用しやすいですか。

    <選択肢>
    • 開示施設の担当医師と連絡が取れるシステム
    • 医療・介護連携に活用できるシステム
    • 開示施設の診察・検査などの予約ができるシステム
    • 地域連携クリティカル・パスを電子的に利用できるシステム
    • 感染症などの流行予測に活用できるシステム
    • 他の利用者(主に閲覧者)との連絡が取れるシステム
    • 他都道府県の医療情報連携ネットワークと接続できるシステム
    • その他
図表:アンケート結果(例)
アンケート結果(例)
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

また医療関連の研究会で、晴れやかネットを利用している医師や薬剤師の意見を事務局がヒアリングし、システム改修の参考としている。

図表:利用者の声(医師)
利用者の声(医師)
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
図表:利用者の声(薬剤師)
利用者の声(薬剤師)
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

またアンケートにより、利用頻度の高い情報項目(検体検査結果、放射線画像、処方オーダ、放射線レポート、服薬指導情報、退院時サマリ)を明確化した。上記項目の公開を実施していない開示施設に開示を依頼した結果、6病院が公開範囲の拡大を行った。

図表:利用頻度の高い情報項目と公開していない開示施設数
情報項目 利用頻度が高い施設数 公開を実施していない
開示施設数
検体検査結果 88施設 4施設
放射線画像 72施設 4施設
処方オーダ 50施設 3施設
放射線レポート 49施設 30施設
服薬指導情報 48施設 49施設
退院時サマリ 45施設 35施設
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(2) ネットワーク利用状況

運用開始から現時点まで、晴れやかネットを活用して患者情報が閲覧された回数を月別にシステムで測定している。平成28年7月末時点では、ケアキャビネットを活用した閲覧が約4,000件と最も多く、次いでID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)が約1,500件、HumanBridge(富士通株式会社)が約500件であった。

晴れやかネットの参加患者数は約1万人であるため、仮に1か月以内に複数回受診する患者を想定しない場合、1か月間に参加患者の約6割が1度は閲覧されている。

図表:システム別ネットワークの利用状況(月別公開患者閲覧件数)
システム別ネットワークの利用状況(月別公開患者閲覧件数)
医療ネットワーク岡山協議会提供資料

7.ネットワーク間連携~HMネットとの連携

(1) 概要

岡山県の西部に位置する県南西部医療圏は、広島県と隣接しており、生活そのものの往来が多く、入院・外来双方の患者の行き来が発生しており、連携の可能性を検討してきた。

広島県では、広島県医師会を中心に全県単位での医療連携ネットワーク「HMネット」を既に構築しており、連携の必要性などが岡山県と広島県の間で合意されたことから、双方の関係者で検討を行い、晴れやかネットとHMネットの相互連携を平成28年4月に開始した。

これにより、県境をまたがる患者の紹介・逆紹介に際し、今まで以上に質の高いサービスが切れ目なく提供できるようになり、地域医療の充実に大きな役割を果たすことが期待されている。

図表:HMネットとの連携イメージ
HMネットとの連携イメージ
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(2) 相互連携の方法

接続方式はネットワークポータル間を接続する形で、相互乗入れを実現している。具体的には、各地域医療連携システムのセンタにリバースプロキシサーバを設置し、それを経由して相手の地域医療連携システムに接続する。これにより、自地域のポータルからシングルサインオンで他地域ポータルを起動し、相手側システムのビューアーで閲覧する。

当初、HMネットの閲覧機能を持つ端末の貸し出しやシステムの共通化の可能性なども検討したが、端末設置は設置スペース上の問題があったこと、またシステム構成やポリシーの違いがあったためあえて共通化せず、両者をセンター間で接続する比較的簡素な接続方式とした。

図表:相互連携の方法
相互連携の方法
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(3) 運用の考え方

運用については晴れやかネットとHMネットのお互いのシステム内においては相手側の運用ポリシーで運用を行うことを原則としたが、運用していく上で支障が生じた場合は両者で調整している。

例えば、晴れやかネットは患者から同意を取得すると患者情報は患者の受診時にかかわらず開示されるのに対して、HMネットは患者が情報開示カードを持参、当該カードを直接提示することにより閲覧するというポリシーで運用している。晴れやかネットの参加機関からすると、HMネットの参加機関を受診した患者の情報が受診時まで見られないという支障があったため、晴れやかネットの参加機関についてはカードなしでも閲覧を可能とするよう調整した。

また、同意方法について、晴れやかネットは施設単位の個別同意に対して、HMネットは参加機関全てに対する包括同意のため、晴れやかネットの参加機関が同意を取得する際は参加機関ごとに指定して開示されるように調整した。

(4) 相手のネットワークの情報を閲覧する方法

HMネットの情報を閲覧するには「広域連携事業利用登録申請書」を医療ネットワーク岡山協議会事務局に提出、事務局がHMネット事務局と利用者情報を共有し、設定が完了すれば晴れやかネットのポータル画面から遷移できるようになる。

相互連携にあたって、双方の規定だけで不足している事項については、共通の運用管理規程(広島・岡山広域連携事業運用管理規程)を作成した。同規程では、双方のポリシーが見直されたときの通達のルール、トラブルが発生した場合の審議のルール、責任分界点などを明確にした。

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