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ピックアップ事例

晴れやかネット(平成25年稼働)
一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会(岡山県岡山市)
086-259-2077 公式ホームページ

※平成29年2月時点
(ただし、参加機関数は平成28年10月末時点、登録患者数は、平成28月11末時点の情報を掲載)

計画Step

1.地域課題、要求事項の抽出

(1)地理的特徴

晴れやかネットは、岡山県全体を対象として医療情報連携ネットワークを構築した。岡山県は、中国地方の南東部に位置し、東は兵庫県、西は広島県に隣接している。南は瀬戸内海を臨んで四国に接し、北は山陰地方と接している。

岡山県内には27市町村(15市10町2村)、県南東部保健医療圏、県南西部保健医療圏、高梁・新見保健医療圏、真庭保健医療圏、津山・英田保健医療圏の5つの二次医療圏(以下、保健医療圏は医療圏)がある。

図表:晴れやかネットの対象地域(地理・交通) 晴れやかネットの対象地域
出所:岡山県「岡山県の都市計画2016」
図表:晴れやかネットの対象地域(医療圏) 晴れやかネットの対象地域
出所:岡山県「第7次岡山県保健医療計画」
(2)医療需要

岡山県全体では人口が約190万人、高齢化率(65歳以上人口)は28.0%である。また、高齢化率を地域別にみると、県南地域の医療圏(県南東部、県南西部)が低く、県北地域(高梁・新見、真庭、津山・英田)の医療圏が高い傾向が見られる。

出所:岡山県「第7次岡山県保健医療計画」より作成
図表:各医療圏の人口および高齢化率(平成26年10月1日現在)
岡山県 県南地域 県北地域
県南東部
医療圏
県南西部
医療圏
高梁・新見
医療圏
真庭
医療圏
津山・英田
医療圏
人口(H26年) 1,924,556
918,678
710,536
64,830
47,323
183,189
高齢化率(H26年) 28.0% 26.4% 27.6% 37.3% 36.2% 32.0%
(3)医療供給

岡山県全体でみると、医療資源は比較的充実している。県内には2つの医科大学(岡山大学医学部、川崎医科大学)が立地しており、先進的な取り組み(ドクターヘリの運航開始など)を実施している。また、県内の人口10万対医師数は299.4人(平成26年12月31現在)であり、県全体としては全国平均244.9人を上回っている。

一方、県内の医療圏別に資源を見ると、県南地域の医療資源は比較的充足しているが、県北地域は医療資源が不足している。また、県南地域でも倉敷中央病院や川崎医科大学が立地している倉敷市や、岡山大学病院が立地している岡山市に医療資源が集中しており、県境の西部地域は特に医師数が不足、広島県に依存しているという圏内格差も生じている。

出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:各医療圏の医師数 (平成26年12月31日現在)
岡山県 県南地域 県北地域
県南東部
医療圏
県南西部
医療圏
高梁・新見
医療圏
真庭
医療圏
津山・英田
医療圏
医師総数 5,760人 3,190人 2,012人 99人 76人 383人
人口10万人
当たり医師数
299.4人 347.2人 283.2人 152.7人 160.6人 209.1人
(4)医療課題

岡山県では、今後取り組むべき課題として、県内で生じている医療の地域差(県北地域と県南地域など)の是正を想定し、その手段として地域医療連携実現に向けた医療情報連携ネットワークの検討を開始した。

2.医療情報連携ネットワークの必要性の検討

(1)医療情報連携ネットワークの必要性

岡山県では、地域医療充実に向けた対策として、地域医療支援センターを中心に医師確保対策を実施しており、一定の効果をあげていた。また、県内の中核病院である岡山大学病院、倉敷中央病院、岡山済生会総合病院がそれぞれ独自に地域の医療機関との連携を促進させるために自院の電子カルテ内の情報を開示するシステムを導入し運用を開始していた。

このように岡山県内では個別の医療情報連携は行われていたものの、特定の病院への患者集中などの課題が残っていたため、岡山県は県全体の取組みとして医療情報連携を促進することが重要であると認識し、医療情報連携ネットワーク構築に向けた検討組織「岡山県医療情報・遠隔医療システム推進検討委員会」を発足させた。

(2)運用開始までの検討体制

岡山県医療情報・遠隔医療システム推進検討委員会は、事業の概要や要件をより具体的に検討するため、下部組織として「診療情報ネットワークワーキンググループ」を組織した。組織化にあたっては「岡山県医療情報・遠隔医療支援システム推進検討委員会設置要綱」と「診療情報ネットワークワーキンググループ運営要領」を定めた。「岡山県医療情報・遠隔医療支援システム推進検討委員会」は学識経験者5名、診療所代表3名、病院代表3名の合計11名の委員で、「診療情報ネットワークワーキンググループ」は薬剤師会も含めて13名の委員で構成した。

出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:晴れやかネットの検討組織
組織 目的 構成員
岡山県医療情報・遠隔医療支援システム推進検討委員会 医療の地域差の是正など 岡山県医師会、岡山県病院協会から推薦のあった者および学識経験者(計11名)
診療情報ネットワークワーキンググループ 医療情報連携ネットワークに係る病院や診療所などの具体的なニーズの調査・分析 病院・診療所の情報担当者、システムに精通するアドバイザーなどから、岡山県医療情報・遠隔医療支援システム推進検討委員会長が選任(計13名)

3.事業概要の決定

(1) 事業立ち上げの目的

岡山県では、上記で挙げた特定の病院への患者集中などの課題対応のため、地域での紹介・逆紹介を活発化することで病病連携、病診連携を促進し、医療機関の連携と役割分担を促進し、医療の質を向上することを目的として、医療情報連携ネットワークを構築することを決定した。

(2) 医療情報連携ネットワーク構築のポイント
ネットワークの構築にあたっては、下記4つの点を重視した。
図表:構築のポイント 構築のポイント
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(3) 対象地域の検討

事業計画当初は、急性期病院などのWeb型電子カルテシステムなどの導入を支援するとともに、県内で2つの二次医療圏を対象として圏内の中核病院を中心に、医療機関がCTなどの画像情報や検体検査結果データなどを相互に閲覧できる情報システムを整備することを計画していた。しかし、岡山県医療情報・遠隔医療システム推進検討委員会で岡山県内の全病院にアンケート調査(有効回答数:95病院)を行った結果、医療情報連携ネットワークへ参加を希望する病院が約60施設と多数にのぼったことから、全県を対象として医療情報連携ネットワークを整備することとした。

(4) 検討組織の設置

岡山県医療情報・遠隔医療システム推進検討委員会では、県が招集した有識者内で検討し、岡山県が医療情報連携ネットワーク事業の骨子を決定した。さらに同委員会の検討結果を受ける形で岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会の三者が協働で「おかやま医療情報ネットワーク協議会(仮称)設立準備会」を立ち上げ、事務所などが設置された。

図表:検討のプロセス
日程 実施プロセス
平成22年1月 岡山県地域医療再生計画の策定
平成23年1月 岡山県医療情報・遠隔医療システム推進検討委員会発足
岡山県医師会、岡山県病院協会、学識経験者により全県を対象とした医療情報ネットワークを検討
平成24年2月~ 県内各地で医療機関向け事業説明会を開催
※県から事業内容の説明を実施
平成24年7月 岡山県医師会、岡山県病院協会、岡山県の三者で、「おかやま医療情報ネットワーク協議会(仮称)設立準備会」を立ち上げ
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
(5) 晴れやかネットの概要

晴れやかネットでは、参加機関は情報公開施設(以下、開示施設)と情報閲覧施設(以下、閲覧施設)に分かれている。公開については、マルチベンダ方式をとるため、電子カルテメーカーの種類を選ばず接続可能なHumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)を採用した。開示施設はいずれかのシステムで診療情報を公開している。閲覧施設はポータルサイトを介して必要な情報を閲覧するという形で連携体制が構築されている。

図表:晴れやかネットの概要図 晴れやかネットの概要図
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(6) 共有できる情報項目

晴れやかネット(基本機能)では、HumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)に共通する情報項目が共有可能である。この中でいずれの情報項目を開示するかは開示施設ごとに範囲を決めているため、開示範囲は病院ごとに異なっている(一例を下図表に示す)。

図表:共有情報項目(岡山大学病院の例)
(○…共有している、×…共有していない)
情報項目 情報の共有の有無
岡山大学病院
患者基本属性
アレルギー情報
病名情報
カルテ情報 医師記載(2号用紙)
退院時サマリ
看護記録
看護サマリ
経過表(温度板)
手術レポート
文書情報
オーダ情報 処方オーダ
注射オーダ
検体検査オーダ
放射線検査オーダ
内視鏡オーダ
生理検査オーダ
入院オーダ
外出先オーダ
転科・転棟オーダ
退院オーダ
食事オーダ
検査結果 検体検査結果
細菌検査結果
病理検査レポート
放射線画像
放射線レポート
エコー画像
エコー検査レポート
内視鏡画像
内視鏡検査レポート
生理検査結果
生理検査レポート
心電図波形※
服薬指導情報
※HumanBridge(富士通株式会社)、ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)の共通項目ではない
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:ID-Link画面イメージ ID-Link画面イメージ
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:HumanBridge画面イメージ HumanBridge画面イメージ
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
(7) アクセス制御

晴れやかネットでは、運用当初は、医師、歯科医師、薬剤師の3職種のみに閲覧を認めていたが、平成28年7月より、国家資格で守秘義務のある下記の図表の19職種を対象に、閲覧権限を拡大した。また、以前は、職種ごとに閲覧する項目を制御するには、開示施設において個別に設定する必要があったが、平成28年6月に全接続システム(HumanBridge(富士通株式会社)、ID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)、ケアキャビネット)に職種別に閲覧できる情報を一括制御できる機能(以下、ACL:Access Control List)を実装したことにより、開示施設での設定作業負荷が軽減された。なお、ACL導入前は、一部の地域医療連携システムは、システム管理者側で職種別に情報項目の閲覧有無を設定することはできない仕様であったため、開示施設側で利用者ごとに閲覧可能な情報項目を設定する必要があり、開示施設側に負担が発生していた。さらに19職種に拡大することに変更した場合、更なる負担増加が見込まれたため、後述の一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会事務局からシステム事業者に改修を依頼し、システム管理者側で一括に設定できるように変更した。今後、職種別に権限を設定することは重要な機能と考えており、システム事業者には仕様変更を行うように要望を出している。

参加機関で晴れやかネットに登録される全ての利用者には運用講習会の受講を義務付け、セキュリティに関する内容を中心に、適正な利用方法の指導を徹底している。

図表:職種別閲覧範囲
職種別閲覧範囲
注)赤枠・・・平成28年7月1日より拡大した職種および閲覧範囲
注)黄色・・・閲覧が制限されている項目
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料
(8) 多職種連携
1) ケアキャビネットの概要

晴れやかネットは基本機能とは別に、拡張機能として在宅医療介護連携ツール「ケアキャビネット」を運用している。ケアキャビネットは、医療機関、介護事業所、行政機関にかかわる多職種間での情報連携を充実させるためのツールである。

平成26年3月から運用開始し、井笠地域の「むすびの和」グループ、高粱市の「やまぼうし」グループ、総社市の「きびきび」グループ、岡山市中心の「もも脳ネット」グループに237施設で667名(平成28年7月)が参加している。なお、各グループは個別に事務局を設置し、同意書も個別に取得している。

ケアキャビネットでは、医師、看護師、薬剤師などの医療従事者に加え、ケアマネジャー、ヘルパーなど介護関係の職種が患者(利用者)のフェイスシート、日々のバイタル、連絡ノートのような情報や地域連携パスなどのファイル、褥瘡のデジカメ写真や歩行状態の動画などを共有できる。

図表:ケアキャビネットの概要 ケアキャビネットの概要
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

バイタルサイン、日常生活動作、皮膚変化や、写真による傷、褥瘡、皮膚の色の変化、動画による歩行状態や嚥下の様子、お薬情報、看護記録、介護の記録、患者の予定、本人や家族の思い、これからの療養の方向性、日々の医療・介護支援のなかで気付いたことや訊ねてみたいことなどの情報共有に役立っている。

2) 権限の付与方法開示・閲覧権限

権限の付与方法開示・閲覧権限は、スタッフ個人単位で設定する。権限付与の流れ(やまぼうしグループ(高梁市)の場合)は以下のとおりである。

  • ①かかりつけ医で取得した同意書を市役所へ送付
  • ②市役所で患者登録し、かかりつけ医に権限付与
  • ③かかりつけ医は、連携する施設の代表者へ権限付与
  • ④医療機関代表者は、担当スタッフに権限付与

権限が付与された範囲内で情報共有が行われている。晴れやかネットの基本機能とは別システムとなっているため、開示施設の電子カルテの参照などは行われない。ケアキャビネットで共有する場合は、別途ケアキャビネット内で記載して登録する必要がある。

3) 多職種連携の例

糖尿病・心臓病・脳卒中・運動器不全症などの疾患の場合は、入院していた病院、かかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャー、デイケア・ショートステイなどのヘルパー、訪問リハビリの理学療法士・言語聴覚士・作業療法士、薬剤師、歯科医師、管理栄養士などが連携する。

認知症では、認知症疾患医療センターの担当医、かかりつけ医、地域包括支援センターの保健師・社会福祉士、ケアマネジャー、ヘルパー、在宅医療コーディネーター、看護師が連携し、特養など入所系の介護事業所では、紹介元病院スタッフ、配置医師スタッフ、入所系事業所などが連携している。

4) ケアキャビネット導入効果

これまでは、地域連携パスを急性期病院でCD-ROMに書き込み、退院時に患者に渡し患者から回復期病院にCD-ROMを渡すという運用が行なわれていた。また、地域連携パスの場合は関わる職種ごとに順番に情報共有シートを送っていた。ケアキャビネットの導入により介護現場でスマートフォンやタブレットで手軽に情報送信ができるようになったことから、CDの紛失懸念や持ち運びによるタイムラグの解消につながり、正確でタイムリーな情報共有が実現した。訪問時に利用者の様子を画像などで送りタイムリーに医師から指示を得ることが可能になった。また、紙ベースでの連携(例:連絡ノートや報告書は紙でファイルしていた)の場合は現状報告となりがちであり、さかのぼって原因を調べたり、経過の比較をしたりすることが難しかった。ケアキャビネットにより、記事が時系列に並んだ画面構成によりその現状に至る経過を把握できるようになった点もケアキャビネットの利用者に評価されている。

4.事業運営主体の組織の設置

(1) 運営主体の組織

平成25年1月31日の運用開始当初は、岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会の三者が協働で設置した任意団体(おかやま医療情報ネットワーク協議会(仮称)設立準備会)としてスタートし、三者協働で県内各地での参加募集説明会の実施や公開講座の開催などのPRを行うことで、参加機関の拡大を図った。平成25年1月31日に岡山大学病院と倉敷中央病院、その他閲覧施設10施設で運用を開始した。

図表:運用開始のプロセス
日程 実施プロセス
平成24年10月 医療ネットワーク岡山協議会(任意団体)設立、「晴れやかネット」の愛称決定
平成24年11月~ 参加者募集説明会開催、利用申込受付(病院、診療所)
※申込方法説明、画面デモなどを実施
平成25年1月31日/th> 以下の参加機関で運用開始
■ 開示:岡山大学病院・倉敷中央病院
■ 閲覧:10施設
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成

運営主体の組織については、任意団体の発足当初から平成25年度中の法人化を目指し、「法人化検討委員会」を設置した。5回の協議を経て平成25年12月9日に登記が完了し、「一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会」(以下、医療ネットワーク岡山協議会)を設立した。

法人形態については、NPO法人、一般社団法人、公益社団法人を比較した。独立採算が前提となる一般法人であれば、行政の支援が止まっても、永続的な安定運営を目指せるとの意見や、将来は公益社団法人化を目指すことを見据えて一般社団法人を選択した。

法人化に際しては、定款記載の事業目的および設立趣意書など、法律上の社員(会員)の位置付け、議決権のあり方、役員(理事、監事、顧問)の位置付け、報酬の有無、定款および施行規則、総会・理事会ほかの決議事項などについて検討を行った。

医療ネットワーク岡山協議会は会員総会を最高決議機関として、理事会、運営委員会で構成することとした。運営委員会で具体的な運用の検討がなされ、理事会がその承認を行っている。

図表:運営主体の組織構成
組織 構成員 機能 開催頻度
一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会 会員総会 正会員 医療ネットワーク岡山協議会における最高の決議機関。正会員のみで構成される。予算・決算・会費など定款に定めがある事項などの決議、理事の選任を行う。 年1回
毎年6月に開催
理事会 岡山県医師会、岡山県病院協会、岡山県などから推薦を受けた者などで構成 予算・決算・会費など定款に定めがある事項などの審議を行い、医療ネットワーク岡山協議会の運営全体の監督を行う。また、運営委員会の協議・決定事項について承認を行う。 年3~4回開催
運営委員会 基幹病院、診療所、薬剤師会、岡山県などにて構成 医療ネットワーク岡山協議会の組織運営に関する事項(定款の改正、事業計画・事業報告書の作成、予算・決算・会費など)の検討および運営における諸問題の解決、広報活動の企画・推進などについて協議を行う。 2ヶ月に1回の頻度で開催
※事務局・・・ネットワークの円滑な運営を図るため、職員3名、派遣職員1名の計4名体制(専任)を取っている。
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:運営主体の会員区分
会員区分 構成員 機能
正会員 管理者会員 医療情報を開示または閲覧する施設の管理者または管理者の委任した者
アクティブ会員 準会員の中から次の基準により選定された者
※施設の準会員数6人以上15人以下・・・上限1人
施設の準会員数16人以上30人以下・・・上限2人
以下、15人またはその端数を増すごとに1人追加
準会員 医療情報を閲覧する者で、正会員以外の者
賛助会員 事業を賛助する者
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
(2) 地方公共団体の関与(医療計画、財政支援)

岡山県では、地域医療充実に向けた対策を進めている中で、平成22年1月の地域医療再生計画において医療情報連携ネットワークの構築を計画に盛り込み、県の事業として検討を進めた。また、医療ネットワーク岡山協議会のメンバーとして運営委員会に参加し運用に関与している。

5.個人情報保護方針などの作成

法令や国で定められたガイドラインに従い、個人情報保護方針、セキュリティポリシー、運用管理規程を、先行事例(あじさいネット(長崎県))を参考に運営委員会で作成した。

これらの方針・規程などの作成により、個人情報の適切な管理方法、問い合わせ・相談窓口対応の明確化、情報セキュリティ管理責任などが明確化された。なお、個人情報保護方針、セキュリティポリシーは一般公開しているが、運用管理規程は、医療ネットワーク岡山協議会会員のみにホームページの会員専用サイト内で公開している。

6.ガイドライン・標準規格などの確認

(1) ガイドラインの確認

医療情報連携ネットワークの構築・運用にあたり遵守すべき国の法令やガイドラインを確認した。具体的には以下の図表の法令とガイドラインを確認した。

図表:参照したガイドライン一覧
# 文書名称
1 個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)
2 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
3 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
4 経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
5 総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」
6 総務省「ASP ・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
(2) 標準規格の確認

晴れやかネットでは、異なるベンダのシステム同士でも情報の交換や他地域の医療情報連携ネットワークなどと連携ができるようにするため、標準規格の採用を医療情報連携ネットワークを構築するうえでの4つのポイントの一つとしている。このため、厚生労働省標準規格のほか、一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)や日本IHE協会などが発行している標準規格を随時参照して規格を採用した。

図表:参照した標準規格など
# 文書名称
1 厚生労働省標準規格(HS025)
地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
2 厚生労働省標準規格(HS026)
SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン
3 JAHIS標準(14-005)
JAHIS HPKI電子認証ガイドライン Ver.1.1
4 JAHIS技術文書(14-104)
JAHIS IHE-ITI を用いた医療情報連携基盤実装ガイド本編 Ver.2.0
5 JAHIS技術文書(13-105)
JAHIS IHE-ITI を用いた医療情報連携基盤実装ガイドレセコン編 Ver.1.0
6 JAHIS技術文書(13-101)
JAHIS 地域医療連携のためのIHE ITI適用ガイド
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
図表:採用した規格一覧
規格採用範囲 規格内容
患者ID管理 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
(PIX/PDQ)(厚生労働省標準規格)
利用者認証 HPKI、SAML※
※シングルサインオン認証方式
連携データの保存形式 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン
(厚生労働省標準規格)
コードマスター
 ・病名コード 採用なし
 ・処方コード 採用なし
 ・検査コード 採用なし
 ・画像 医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)
(厚生労働省標準規格)
出所:医療ネットワーク岡山協議会ヒアリング内容より作成

7.システム化方針決定

晴れやかネットは、地域での紹介、逆紹介をより活発化し、病病・病診連携を進め、医療機関の役割分担と連携を促進し、医療の質を向上することを目的としている。このため、病院と診療所を主な参加機関と想定した。

岡山県では二次医療圏を超える医療情報連携ネットワークとするため、1対N型ではなく、地域全体の医療情報連携ネットワーク(N対N型)を構築することを目指した。

長崎県で導入済みの医療情報連携システムを参考に導入し、その後、段階的に機能の追加・改修を行うこととした。

岡山県内の主な病院に対して岡山県が事前にアンケートしたところ、電子カルテの種類が多いことが判明した。そこで、HumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)の2つの地域医療連携システムを基本として医療情報連携ネットワークを構築することとした。

その際、患者がどちらのシステムにデータが登録されているのかをユーザーが意識せずに医療情報連携ネットワークを利用できるように、HumanBridge(富士通株式会社)およびID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)から患者名を表示するポータルサイトを構築した。患者の医療情報が公開されると、閲覧権限のあるユーザーのポータルサイトに患者が表示され、患者名をクリックすることによりHumanBridge(富士通株式会社)またはID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)の各患者情報参照画面へ遷移する。患者画面では情報元の開示施設の電子カルテシステムからSS-MIXストレージに格納された情報を、地域医療連携システムで閲覧できることを目指した。

また、前述のとおり、異なるベンダのシステム同士で情報交換を行うため、厚生労働省標準規格を採用するなど、標準規格をベースに構築することとした。

さらに、外部と個人情報を含む医療情報を交換するため、晴れやかネットに参加する機関は、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインをふまえ、IPsec+IKEでの接続または、岡山県が整備した岡山情報ハイウェイ(閉域網)による接続に限定し、同意が得られた患者の情報のみを閲覧するなど、厳重なセキュリティ対策を講じることとした。

図表:ポータルサイトの画面
ポータルサイトの画面
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

8.事業計画・収支計画立案

(1) 構築費用(ケアキャビネット構築費用は含まず)

当初は県内で2つの医療圏を対象に、圏内の中核病院を中心に、医療機関が相互にCTなどの画像情報や検体検査結果データなどを相互に閲覧できる情報システムを整備する計画であったため、事業費は634,000千円であった。

その後、岡山県内の病院で参加を希望する声が多数に上ったため、対象地域を全県に変更し、事業費は950,007千円となった。

(2) 構築費用の負担配分

岡山県地域医療再生基金を活用して主に県の負担で構築した。

情報開示用のサーバの設置にかかる費用については、岡山県で整備基準、整備対象、補助金額、補助条件を明確にしたうえで、県内のすべての病院を対象として申請を受け付け、直接病院へ補助した。開示施設の補助率は導入費用の3/4で、一施設あたり最大2,000万円である。その条件として、5年間以上の参加や導入時に過去2年間の全患者の診療情報を公開することを義務付けた。

その具体的な補助対象とした経費としては、SS-MIX標準化(拡張)ストレージおよびゲートウェイサーバ導入費用、SS-MIX標準化(拡張)ストレージへデータを出力するための費用、その他ファイアウォールや無停電電源装置の導入費用などがある。(電子カルテの導入が前提であり、電子カルテ整備費用は補助対象外とした。)

図表:整備基準

整備基準
出所:岡山県保健福祉部医療推進課資料
(3) 運用費用

晴れやかネットは、自主運営を行うことを前提とした事業であることから、参加機関からの会費により事業運営、システムの維持を行っている。

ただし、構築年度の平成24年度から平成25年度末までは、参加機関を募るため、特例期間とし、閲覧施設は入会金などの初期費用は免除し、会費も月額1,000円のみとした。

平成26年度から会員区分に応じた入会金と会費(年1回)を徴収して運用している。会費制にした背景として、岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会が、補助を活用しつつ自走した事業とすることを共通認識としたため、法人化を目指していた。したがって、5年後の改修を見据えて、会員から会費を取るという選択とした。

開示施設の入会金と会費は規模(病床数)別に設定している。なお、開示施設は、地域医療連携システム(HumanBridge(富士通株式会社)またはID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社))の月額利用料を含んだ会費設定としている。医療ネットワーク岡山協議会は、地域医療連携システムベンダに対し、開示施設のシステム利用料を一括して支払っている。開示施設の利用料をまとめることのメリットは、ベンダ各社とスケールメリットを生かした価格交渉を行うことができる点である。

閲覧施設は規模にかかわらず一律の入会金と会費を徴収しており、閲覧施設の負担を開示施設よりも少なくすることで参加を促す考え方で料金体系を決めている。

平成27年度の運用費は50,000千円である。

図表:入会金と会費の概要
会員区分 入会金 会費
開示施設 正会員 200床未満の病院:900,000円
200~299床の病院:1,000,000円
300床以上の病院:1,100,000円
※情報ハイウェイ接続によりVPNルータを設置しない場合は、上記入会金を700,000円減額する。
200床未満の病院:20,000円/月
200~299床の病院:50,000円/月
300床以上の病院:80,000円/月
閲覧施設 正会員 ハードVPN    150,000円
ソフトVPN    120,000円
※VPNルータまたはソフトウェアを追加する場合は、上記入会金に追加に係る実費相当額を加える。
※情報ハイウェイ接続により、閲覧用のVPNルータまたはソフトウェアを設置しない場合は、100,000円とする。
5,000円/月
※VPNルータまたはソフトウェアを追加する場合は、VPNルータ1台またはソフトウェア1ライセンスあたり、月額500円を加える。
準会員 1,500円/月
※開示施設は、準会員費を免除
開示施設は何名IDを持っても閲覧にかかる月額は5,000円となる。
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成
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