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ピックアップ事例

晴れやかネット(平成25年稼働)
一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会(岡山県岡山市)
086-259-2077 公式ホームページ

※平成29年2月時点
(ただし、参加機関数は平成28年10月末時点、登録患者数は、平成28月11末時点の情報を掲載)

全体概要

対象地域 岡山県全域
構築時の主な関係者 岡山県医師会
岡山県病院協会
岡山県
費用負担
※構築費用はデータ出力対応費を含む
構築費用: 950,007千円
<負担者>
・岡山県
・開示施設
運営主体の運用費用: 50,000千円/年
※利用者の地域連携システムの利用料金を含む
・開示施設
・閲覧施設
規模 登録患者数: 12,166人
[平成28年11月末現在]
参加機関数: 429施設
・開示施設 51施設
※48施設は閲覧施設としても参加
・閲覧施設 426施設
※病院 115施設
診療所 197施設
薬局 109施設
介護老人保健施設 5施設
[平成28年10月末現在]
病病/病診連携以外のサービス 薬局との連携サービス、介護事業所との連携サービス、他地域ネットワークとの連携サービス

概要

晴れやかネットは岡山県全域を対象としている医療情報連携ネットワークである。岡山県は比較的医療が充実しているものの、県南東部に医療資源が集中しており医療資源の偏在や患者集中などの課題があった。地域での紹介・逆紹介を活発化することで病病連携、病診連携を促進し、医療機関の連携と役割分担を促進し、医療の質を向上することを目的として地域医療再生計画に基づいて構築、平成25年1月に稼働した。

晴れやかネットは、地域医療連携システムとして販売されているHumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)をポータルサイトで統合した共存型で、ポータルサイトを介してシングルサインオンで必要な情報を閲覧する仕組みである。基本機能と拡張機能に分かれており、拡張機能として在宅医療介護連携ツール「ケアキャビネット」が運用されている。晴れやかネットの運用により、急性期から在宅医療に至るまで切れ目のない地域連携体制が整備されてきたことで、高齢化に伴う疾病構造の変化や増大する医療介護の多様なニーズに対応できるなど効果が上がっている。

また、平成28年4月より、隣接しているHMネット(広島県)と相互接続運用を行っている。

図表:晴れやかネットの概要
晴れやかネットの概要
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料

特徴

全県単位で特定の中核病院を中心とする1対N型ではなくN対N型のネットワークを目指したにもかかわらず、平成24年7月の岡山県医師会、岡山県病院協会、岡山県の三者で「おかやま医療情報ネットワーク協議会(仮称)設立準備会」を立ち上げた時点から運用開始まで約半年と比較的短期間で構築されたこと、病院の参加率が高いことが特徴である。病院の参加率は県内全病院の約7割に達するだけでなく、開示施設である病院は51施設(県内病院の約3割)と全国一の施設数である。

成功要因

岡山県は地域医療再生計画に医療情報連携ネットワーク構築を盛り込み、県の事業として取組んだが、取組み当初から岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会の三者で協議を重ね、協力関係が構築された。

また、複数の中核病院が電子カルテの開示による医療情報連携をそれぞれ始めていたため、医療情報連携ネットワークをスタートすることに関する必要性、意義について、関係者間での合意形成プロセスは比較的にスムースに進むことが出来たこと、また、岡山県の情報ハイウェイが広く整備されていたことなど、ある程度基盤ができていた。

地域医療再生計画が終了する平成25年度末までに整備する必要があったため、他県で導入済みの地域医療連携システムであるHumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)を導入することを早期に決定、先行事例として、あじさいネット(長崎県)に倣いながら構築や運用準備を進めた。また、岡山県、岡山県医師会、岡山県病院協会の三者協働で県内各地で参加募集説明会を行うなど活発に参加機関を募集した。

ネットワーク構築時の苦労

運営主体が構築時に苦労した点とその解決策は以下のとおりである。

図表:構築時の苦労と解決策
# 苦労 解決策
1 既に医療情報連携ネットワークの運用を行っていた中核病院の晴れやかネットへの参加 晴れやかネット構築前から既に県内の中核3病院(岡山大学病院、倉敷中央病院、岡山済生会総合病院)が各々で医療情報連携ネットワークの運用を開始していた。当該3病院に対して、晴れやかネットへの参加の説得を行った。 岡山県、岡山県病院協会が協力し、岡山県全域での広域連携のメリットを説明し、晴れやかネットに移行することで合意を取り付けた。
2 システム人材不足 システムに関する専門知識を持つ人材が運営主体に不足しており、ベンダとの交渉に苦労した。 岡山県が外部事業者(コンサル会社)と契約したうえで実施した。
3 構築や運用ノウハウ 構築や運用について前例が少なく、情報の収集・実施に苦労した。 マルチベンダ方式の先行事例としてあじさいネット(長崎県)の事務局と緊密に連絡、具体的なノウハウを獲得した。
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成

運営主体が運用時に苦労した点とその解決策は以下のとおりである。

図表:事業運用にあたっての課題および解決策
# 苦労 解決策 状況
1 同意の取得情報 忙しい診療の合間での同意取得は難しいことや、同意書の原本の開示施設への郵送が手間であることなどの意見が参加機関からあった 開示施設側で取得する(Push型同意書の取得)方法を推進した 開示施設側での同意取得が進み、毎月の同意書取得件数が安定化した
2 情報の公開範囲 公開範囲が狭い場合、参照しても診療に役立てることは難しいとの意見が閲覧施設からあった アンケート結果に基づいて開示施設へ公開範囲の拡大を依頼した 6病院が公開範囲の拡大を実施した
3 運用講習会 運用講習会を受講するための時間調整の難しさや、運営主体(事務局)の開催負担があった 参加機関から申請、運営主体から任命を受けた利用者が院内で講習会を実施する「院内インストラクター制度」の導入により、会員が参加しやすい場所での講習会の実施した 50名を任命済み。運営主体(事務局)による講習会実施の負担が軽減した
4 利用者登録 マルチベンダ方式の採用により、構築当初からHumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)、ポータルサイトそれぞれに利用者登録を実施する必要があり、非常に煩雑であった IHE ITI標準であるHPD(Healthcare Provider Directory)の実装
HPDは、組織と人の情報をシステム間で連携するためのプロファイル
利用者一元管理システムの稼動により、利用者情報の登録変更削除などの事務作業負担が軽減した
5 問い合わせ システムの不具合などの問い合わせの対応範囲の切り分けが事務局では困難であった ベンダ会議を開催し、外部ヘルプデスクでの24時間365日一時受けのルールを確立した
※ ベンダは他地域の医療情報連携ネットワークのヘルプデスクを担当しており、ルール確立はスムースに実施できた
※ ベンダは他地域の医療情報連携ネットワークのヘルプデスクを担当しており、ルール確立はスムースに実施できた
問い合わせから解決までの時間が短縮した
出所:医療ネットワーク岡山協議会提供資料より作成

運営主体からのこれから医療情報連携ネットワークを構築する方へのメッセージ

システム構築にあたっては、将来の拡張性を見据えて、標準規格を積極的に採用し、複数ベンダ製品との連携がスムースになるように配慮すべきである。ベンダの製品に対してユーザーがカスタマイズを求めすぎないことも重要である。

晴れやかネットは、マルチベンダ方式を採用し、HumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)という異なるベンダの地域医療連携システムを採用した。異なるシステム間において患者情報の一元管理(名寄せ)がなされていないため、情報閲覧者は、一人の患者の情報を閲覧する際にもそれぞれのビューアーを起動しなければならないという煩雑さが生じている。患者情報の一元管理と一人の患者の情報を一連の経過として閲覧者が容易に把握できる仕組みについては、今後の課題として検討を進めているところである。

これから新たにマルチベンダ方式にて医療情報連携ネットワークの構築を検討するのであれば、当初より患者情報の一元管理(名寄せ)を前提としたシステム構築を検討することが望ましいと思われる。

また、ポータルを介してすべての接続システムへのシングルサインオンを実現しているが、事務局ではシステムごとに利用者登録作業が生じ、事務処理負担が増加する課題があった。現在は、利用者一元管理システムの実装により、利用者登録における人的負担は大幅に解消されている。システムを導入する場合には、事務処理に過重な負担がかからないよう十分に検証すべきである。

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