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びわ湖メディカルネット(平成26年稼働)
特定非営利活動法人滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会(滋賀県)
077-582-5215 公式ホームページ

※平成28年9月1日時点のインタビューの結果を掲載しています。
(ただし、登録患者数や参加機関数は、11月15日時点のものを掲載。)

計画Step

1.地域課題、要求事項の抽出

(1)地理的特徴

びわ湖メディカルネットが連携対象としている滋賀県は、近畿地方に位置し、北は福井県、東は岐阜県、南東は三重県、西は京都府と接している。県全体では南北に長い形状をしているが、県中央部には県面積の約1/6を占めるびわ湖が位置している。

滋賀県内の二次医療圏は、琵琶湖を中心に県南部に位置する大津保健医療圏、湖南保健医療圏、甲賀保健医療圏、県東部に位置する東近江保健医療圏、湖東保健医療圏、県北部に位置する湖北保健医療圏、県西部に位置する湖西保健医療圏の7つに分かれている。(以下、保健医療圏は医療圏)

図表:びわ湖メディカルネットの対象地域
びわ湖メディカルネットの対象地域
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料
(2)医療需要

滋賀県全体では人口が約141万人、高齢化率(65歳以上人口)は24.3%であり、全国平均(26.0%)と比較して、人口の高齢化は緩やかに進行している。しかし、高齢化率を地域別にみると、南部および東部は低い傾向にあるが、北部および西部は高い傾向にあり、地域間格差が大きい。

図表:各医療圏の人口および高齢化率
滋賀
全体
南部 東部 北部 西部
大津
医療圏
湖南
医療圏
甲賀
医療圏
東近江
医療圏
湖東
医療圏
湖北
医療圏
湖西
医療圏
人口(H27年) 1,415,37人 341,331人 335,227人 144,487人 229,983人 155,946人 158,534人 49,865人
高齢化率(H27年) 24.3% 24.7% 20.3% 24.2% 25.4% 24.2% 27.2% 32.4%
出所:滋賀県「滋賀県地域医療構想の概要」より作成
(3)医療供給

滋賀県全体の医師数(人口10万対)でみると、全国平均(251人)と比較して、医師数は不足している。さらに、医療圏別でみると、大津医療圏では364人、湖南医療圏では211人、甲賀医療圏では133人、東近江医療圏では175人、湖東医療圏では155人、湖北医療圏では178人、湖西医療圏では155人と地域による医師の偏在が認められる。また看護師数(准看護師数を含む)は人口10万人あたり739人で、全国平均812人よりも少ない。

また、滋賀県内に存在する大学病院は滋賀医科大学医学部附属病院の1施設のみで、救命救急センターは長浜赤十字病院、近江八幡私立総合医療センター、済生会滋賀県病院、大津赤十字病院の4施設がある。滋賀県の一般病床数は人口10万人あたり666床で、全国平均の700床より少ない。

図表:各医療圏の医師数
滋賀
全体
南部 東部 北部 西部
大津
医療圏
湖南
医療圏
甲賀
医療圏
東近江
医療圏
湖東
医療圏
湖北
医療圏
湖西
医療圏
医師数(H26年) 3,149人 1,246人 702人 133人 404人 242人 284人 78人
10万人あたり医師数(H26年) 222 364 211 133 175 155 178 155
出所:滋賀県「滋賀県地域医療構想の概要」より作成
(4)医療の課題

滋賀県全体では高齢化率が全国平均と比較して低い傾向にあるが、医療圏別にみると北部および西部は高い傾向にあり、地域格差がある。また、医師数、看護師数、一般病床数などは、全国平均と比較していずれも不足しており、医療提供体制の強化が求められてきた。

滋賀県では、上記の状況をふまえ、県内の各医療圏における医療提供体制の強化を今後取り組むべき主要な課題として認識し、その解決策として地域医療連携実現に向けた検討を開始した。

2.医療情報連携ネットワークの必要性の検討

滋賀県内では、医療機能の分化・連携の強化により、地域の限られた医療資源を十分に活用し、ぞれぞれの地域で包括的な医療提供体制が実現できるよう取組みを進めてきた。こうした中、湖東・湖北医療圏では、医療機関や医師不足が深刻であり、差し迫った課題として医療機関の診療連携を進めることとし、医療情報連携ネットワーク構築に向けた検討が行われていた。湖東・湖北医療圏では、彦根市立病院、長浜赤十字病院、市立長浜病院の3病院と県の保健所が検討主体となり、平成24年度に地域医療再生基金から助成を受け、長崎県の「あじさいネット」をイメージした医療情報連携ネットワークを構築し(湖東・湖北医療ネット)、平成25年4月から運用を開始した。

一方、滋賀県全域では、地域完結型の包括的な医療提供体制を構築するとともに、医療圏を越えた医療需要や高度医療などに対応するため、全県型医療の展開を目指して取組みを進めていた。また、様々な職種の医療従事者が医療情報を共有することが必要不可欠であると考えていた。そこで、新たな全県型の医療情報連携ネットワークを構築したうえで、湖東・湖北医療ネットを統合することとした。

3.事業概要の決定

(1) 事業立ち上げの目的(医療情報連携ネットワークの必要性)

滋賀県では、全県域において医療機関の診療情報の共有を促進し、医療機能の分化・連携および医療に従事する人たちの多職種連携を実現し、地域医療提供体制の確立を図ることを目的として、医療情報連携ネットワークを構築することを決定した。

診療情報を共有するための方法は、患者さんが情報を所持するICカードの活用、医療連携パスの電子化、在宅療養手帳の電子化などの様々な取組が行われている。しかしながら、増大する医療情報に対応し、可能な限りリアルタイムな情報の連携や円滑な情報の利活用を実現するとともに、高度なセキュリティ対策を図っていくためには、ICTネットワークを活用した医療情報連携ネットワークの構築が最も有効であると判断した。

また、滋賀県では、将来的に、疾病の登録・分析や、医療専門職の教育、県民の健康医療の増進などへ医療情報を活用することとしており、まず、医療情報連携ネットワークを構築し、これを基盤に発展させていくことが不可欠であると考えていた。

(2) 事業の全体像

びわ湖メディカルネットは、中核病院、病院、診療所、薬局、訪問看護ステーションが参加しており、先行して構築されていた湖東・湖北医療ネットを統合し、全県単位の医療情報連携ネットワークにまで拡大することを目指した。

また、淡海あさがおネット※と連携し、急性期医療から回復期・維持期の医療、在宅療養支援までを包括する医療情報連携ネットワークとして運用できるよう取組みを進めた。

※ 淡海あさがおネットは、医師、訪問看護師、ケアマネジャーなどからの意見をもとに、多職種・多施設が、双方向で情報共有を行うため滋賀県医師会が独自で開発したシステム。

図表:「びわ湖メディカルネット」と「淡海あさがおネット」のイメージ図
「びわ湖メディカルネット」と「淡海あさがおネット」のイメージ図
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料
(3)共有できる情報項目

原則として電子カルテや部門システム上のすべての項目を開示することとしているが、情報項目を共有する最終判断は各病院の判断に委ねている。

医療情報は、各病院の責任において適切に管理・運用されるべきであり、情報の共有に際しては、正確かつ適切な情報が提供される必要がある。このため、どのような情報を開示するかの判断においては、病院内での合意形成を図る必要があり、診療情報の質や開示後の情報活用に対する不安などから特定の情報について共有されない場合がある。また、電子カルテシステム以外の部門システムから情報を開示する場合に、システムごとに接続の費用が必要となり、高額な経費がかかるため共有できない場合がある。

図表:共有情報項目
(○…開示している、×…開示していない)
情報項目 情報の共有の有無
滋賀県立成人病センター
患者基本属性
アレルギー情報
病名情報
カルテ情報 医師記載(2号用紙) ×
退院時サマリ
看護記録 ×
看護サマリ
温度板
手術レポート
リハビリレポート ×
栄養指導 ×
文書情報 文書情報
オーダ情報 予約オーダ ×
処方オーダ
注射オーダ
放射線検査オーダ ×
検体検査オーダ
細菌検査オーダ ×
病理検査オーダ ×
内視鏡オーダ
生理検査オーダ
リハビリオーダ ×
入院オーダ ×
手術オーダ
外出先オーダ ×
転科・転棟オーダ ×
退院オーダ
食事オーダ ×
担当医情報 ×
検査結果 検体検査結果
細菌検査結果 ×
病理検査レポート
放射線画像
放射線レポート
エコー画像
エコー検査レポート
内視鏡画像
内視鏡検査レポート
生理検査結果(心電図・脳波など)
生理検査レポート
服薬指導情報 ×
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料

<各病院の詳細な公開情報項目>
http://www.biwako-medical.net/県民の皆様へ/情報開示項目一覧/

(4) アクセス制御

利用者のアクセス制御は、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士などの国家資格を有する医療専門職と、相談支援など(福祉職や介護職、医事事務など)に従事する医療専門職以外の職種に区分して閲覧権限を設定している。

前者は、開示施設が開示している全ての情報項目を閲覧できるが、後者は、患者基本情報と診療・検査の予約システムに対するアクセス権のみを設定している。ただし、後者においても、相談支援、医療補助、医療情報管理の業務に従事し医療情報の共有が必要な場合は、情報の取扱いに際して、当該職員の管理者による指示と適切な管理監督が行われることを条件として、医療専門職と同等の権限を認めることとしている。

一部の医療圏では、薬局および訪問看護ステーションに対する閲覧制限を実施しているが、今後は制限をしない方向で調整を行う予定である。

なお、淡海あさがおネットのみに登録されている利用者は、びわ湖メディカルネットの内容を閲覧する権限を設定していない。

4.事業運営主体の組織の設置

滋賀県において推進されてきた地域医療再生計画の取組みの一環として、平成24年2月より、県内各地域の拠点病院、医師会、保健所などの医療関係者による意見交換および調整の場である「滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議」が設置され、月1回程度の頻度で検討を実施した。

また滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議設置後に、並列関係にある会議体として、各医療圏に協議会(医療圏協議会)を設置し、月1回程度の頻度で各医療圏の現状や必要とされる要件などを検討した。並列関係とした理由は、普及展開を考慮した際に、医療圏ごとに地域事情が異なるため、県全域での統一的な運用方針をふまえながらも、各医療圏の特性を生かすこととし、それぞれの医療圏で地域医師会や薬剤師会、病院などが集まって検討し、自主的に利用普及した方が良いとの判断があったからである。

各医療圏に設置した医療圏協議会は以下の通りである。

  • 大津・湖西医療圏:医療情報連携ネットワーク協議会
  • 湖東・湖北医療圏:地域医療連携ネットワーク整備委員会
  • 湖南医療圏:医療情報連携ネットワーク協議会
  • 東近江医療圏域:医療情報連携ネットワーク整備検討会
  • 甲賀医療圏:甲賀医療圏ICTネットワーク協議会

なお、特定の医療圏を除き、医療圏協議会の設置や運営業務については、滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議がコンサルタントの協力を得て支援を行い、関係者調整、委員就任依頼、各医療圏の要件などのとりまとめなどを進めた。

図表:運用開始までのプロセス
日程 実施プロセス
平成22年1月 平成21年度滋賀県地域医療再生計画の策定(東近江医療圏ならびに湖東・湖北医療圏が対象)
平成24年2月 滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議設置
平成23年11月 平成23年度 滋賀県地域医療再生計画の策定
平成25年4月 湖東・湖北医療ネット運用開始
平成25年11月 特定非営利活動法人滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会(全県協議会)設立
平成26年7月 滋賀県医療情報連携ネットワーク(愛称:びわ湖メディカルネット)システムを整備し運用を開始
平成26年7月 びわ湖メディカルネットに湖東・湖北医療ネットを統合
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成
(1) 運営主体の組織
1) 組織形態の選択

滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議の一連の議論の中では県全域で医療情報連携ネットワーク基盤を構築し、将来にわたり継続的に運用していくためには、公益性が高く信頼性のある持続可能な法人組織を設置して、明確な管理責任体制の下に事業を運営する必要があるとの共通認識があった。このため、県全域での運営主体は、法人格を有することとした。

法人形態については、NPO法人、一般社団法人、公益社団法人を比較した結果、手続や組織の意思決定の速度などの観点からNPO法人を選択し、平成25年11月に「特定非営利活動法人滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会(全県協議会)」を設立した。なお、全県協議会には、滋賀県医師会、滋賀県歯科医師会、滋賀県薬剤師会、開示施設、滋賀県病院協会、滋賀県が参加した。

2)全県協議会と各医療圏協議会との関係性

全県協議会と医療圏協議会は、引き続き並列して検討を行い、認識の齟齬などが出た場合は、個別に会議を設置して検討した。

特に、地域医療連携ネットワーク整備委員会(湖東・湖北医療圏)では先行して医療情報連携ネットワークを構築していたため、当初はネットワーク構成やセキュリティの内容、利用料金などについて意見が分かれた部分もあり、合意に至るまで綿密に協議を重ねた。

なお、湖東・湖北医療圏との調整においては、具体的に、閲覧施設との接続方法として、VPNの導入についてハード方式とソフト方式のどちらを採択するか、患者の開示同意範囲を利用者個人と利用施設のどちらにするか、利用料を月額2000円~4,000円の範囲でどのように設定するか、歯科診療所・薬局・訪問看護ステーションへの情報開示項目を制限するかなどといった論点があったが、接続方式や患者の開示同意範囲などを除いて、湖東・湖北医療ネットの運用方法をできる限り採用することとし、合意に至った。

図表:全県協議会と各医療圏協議会の関係性
全県協議会と各医療圏協議会の関係性
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料
3)組織体制

全県協議会は、総会、理事会、技術委員会・運営委員会で構成されており、詳細な検討は技術委員会および運営委員会で実施した。また特に集中した検討が必要なテーマが生じた場合は、委員会の下に部会(ワーキンググループ)を設置して検討した。

各委員会には、各医療圏協議会から地域医師会や開示施設、保健所の代表者が参加し、医療圏協議会の検討内容の報告を行い、全県協議会との整合をとる形で進めた。

なお、部会(ワーキンググループ)は、技術委員会・運営委員会合同のもとに、将来構想検討部会、予約システム検討部会、情報提供取扱検討部会を設置している。

全県協議会と各医療圏協議会の関係性
技術委員会・ワーキンググループ(2~3か月に1回程度開催)
  • ネットワーク種別・セキュリティなどの技術検討
  • 共有する情報項目の内容・共有の手法 など
運営委員会(4か月に1回程度開催)
  • 構築費用および運営費用の費用分担
  • 医療情報連携ネットワークの普及啓発
  • セキュリティポリシーなどの文書類策定 など
図表:運営主体の組織構成
組織 構成員 機能 開催頻度
総会 正会員13名:
滋賀県医師会役員、病院長など
  • 法人の定款変更、解散・合併、事業報告・活動決算、役員の選任・解任などの重要事項の決定
年1回
理事会 理事20名:
滋賀県医師会・滋賀県歯科医師会・滋賀県看護協会・滋賀県薬剤師会の役員、病院長、行政関係者など
  • 総会に付すべき事項の協議決定、総会の決議事項の執行やその他重要事項の会務にかかる協議決定
年2回
委員会 委員42名:
滋賀県医師会・地域医師会・滋賀県歯科医師会・滋賀県看護協会・滋賀県薬剤師会の関係者、開示施設関係者、行政関係者など
  • 技術委員会:医療情報連携ネットワーク基盤の構築、運用および拡充などに関する専門的・技術的事項についての協議・検討
  • 運営委員会:医療情報連携ネットワークシステムの事業運営全般、利活用の促進、人材育成、将来展開の方向性などについての協議・検討
年3~4回程度

※事務局・・・事務局長1名(非図表:採用した規格一覧常勤専任)と、職員2名(パート職員)、滋賀県立成人病センター職員1名(兼任)の4人体制

出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料
(2) 地方公共団体の関与(医療計画、財政支援)

滋賀県からは、医療情報ネットワーク基盤整備(約4,000万円)、ポータルサイト構築(約5,000万円)、地域医療連携システムや在宅療養システムなどとの接続(約3,500万円)、開示施設での情報開示用サーバの設置と電子カルテ・部門システムとの接続に一病院あたり2,500万円を上限として補助を実施した。

こうした財政的支援のほかにも、びわ湖メディカルネットの構築過程において、県の担当部局や保健所による関係機関・団体への協力依頼、調整などの支援があった。また、県協議会の理事会、委員会や、地域協議会へ参画している。

さらに、滋賀県立成人病センターは、情報技術職員の派遣や事務局執務室の提供、県協議会の実務の補助などの支援を行っている。

5.個人情報保護方針などの作成

情報セキュリティポリシーとしての「情報セキュリティ基本方針」と「個人情報保護方針」を策定した。具体的な運用に関しては、「運用管理規程」、「運用マニュアル」を作成した。

6.ガイドライン・標準規格などの確認

(1) ガイドラインの確認

医療情報連携ネットワークの構築・運用にあたり遵守すべき国のガイドラインを確認した。具体的には以下の図表のガイドラインを確認した。

図表:参照したガイドライン一覧
文書名称 採用範囲
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 びわ湖メディカルネット
淡海あさがおネット
経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」 びわ湖メディカルネット
淡海あさがおネット
総務省「ASP ・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」 びわ湖メディカルネット
淡海あさがおネット
総務省「ASP ・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」 びわ湖メディカルネット
淡海あさがおネット
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成
(2) 標準規格の確認

厚生労働省標準規格のほか、JAHISや日本IHE協会などが策定している標準規格を随時参照して採用する規格を決定した。

図表:採用した規格一覧
規格採用範囲 規格内容
患者ID管理 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様V2.0
(PIX/PDQ)(厚生労働省標準規格)
利用者認証 SAML(OASIS標準規格)
※シングルサインオン認証方式
連携データの保存形式 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン
(厚生労働省標準規格)
コードマスター
・病名コード 採用なし
・処方コード YJコード※医薬品コード
NSIPS※調剤システム共有IF仕様
・検査コード 採用なし
・画像 医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)
(厚生労働省標準規格)
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成

7.システム化方針決定

全県型医療情報連携ネットワークとして、他連携システムとの接続も可能となるように、ネットワーク上で共通機能を集約・一元化することで、システムコスト・管理コストを削減できるような仕組みを目指した。

具体的には、病病連携・病診連携を目的としたびわ湖メディカルネットとは別に、滋賀県医師会が設置運営している淡海あさがおネットや遠隔病理診断システムとSSO(シングルサインオン)で連携することを前提とした。将来的には、脳卒中DBシステム、医療従事者教育支援システム(検討中)、健康情報提供システム(検討中)などのシステムについても、滋賀県医療情報連携ネットワークと同一基盤上で連携して展開することを想定した。こうしたびわ湖メディカルネットの基本的なシステム化にかかる方針の決定は、滋賀県が設置した「滋賀県医療情報連携ネットワーク整備検討会議」を中心に検討を進め、関係機関や団体との合意のもとに行われてきた。

また、「滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会」の設立後については、全県協議会の技術委員会と運営委員会において検討・協議を進め、患者IDや利用者認証、データの出力・保存に関する規格や、セキュリティ対策にかかる方式といった技術的なシステムの方針を決定するとともに、情報セキュリティ基本方針、個人情報保護方針、運用管理規程などの策定を通してネットワークの運用にかかる具体的方針を決定した。

同時に、コンサルタント事業者の支援を得て、システムの具体的要件を明らかにし、ネットワーク構築にかかる経費や、運用開始後のシステム保守管理費、県協議会の運用費用などについても試算を行った。

図表:医療情報連携ネットワークの開発方針
医療情報連携ネットワークの開発方針
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料

8.事業計画・収支計画立案

(1) 構築費用

びわ湖メディカルネットの構築費用は、医療情報連携ネットワーク基盤整備が約4,000万円、ポータルサイト構築が約5,000万円、地域医療連携システムや在宅療養システムなどとの接続が約3,500万円、開示施設の開示用サーバと電子カルテとの接続が約2,500~3,500万円であった。

図表:構築費用
費目 費用
① 医療情報連携ネットワーク基盤整備 4,000万円
② ポータルサイト構築 5,000万円
③ 地域医療連携システムや在宅療養システムなどとの接続 3,500万円
④ 各病院の開示用サーバと電子カルテとの接続
(1病院あたり)
2,500~3,500万円
(2,500万円まで県が負担)
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成
(2) 構築費用の負担配分

下記については、滋賀地域医療再生基金の予算で滋賀県が負担した。

  • ①医療情報連ネットワーク基盤整備
  • ②ポータルサイト構築
  • ③地域医療連携システムや在宅療養システムなどとの接続
  • ④各病院の開示用サーバと電子カルテとの接続(上限2,500万円)
(3) 運用費用

びわ湖メディカルネットの運用費用(平成27年度)は、システムの運用費用と管理費を合わせて年間3,800万円である。

その内訳は、事業費(医療情報連携ネットワーク基盤保守・管理、ポータルサイト保守・管理、通信費、システム改修費など)が約2,600万円、管理費(人件費、県協議会活動費など)が約1,200万円であった。

図表:ネットワーク運用費用(税込8%)
費目 費用 負担者
該当/非該当
金額
協議会運用費用 会議費用(費用弁償など) 12,000千円/年 協議会
人件費 協議会
事務局諸費用(消耗品費、通信費など) 協議会
システム改修費用 26,000千円/年 協議会

システム運用

費用
システム運用保守作業費用 協議会
問い合わせ対応費用 協議会
ホームページ関連費用 協議会
ベンダ支払費用 HumanBridge(富士通株式会社)利用料 開示施設 施設による 開示施設
閲覧施設 閲覧施設
ID-Link(株式会社エスイーシー,日本電気株式会社)利用料 開示施設 施設による 開示施設
閲覧施設 閲覧施設
VPN利用料 開示施設
(IP-VPN)
初期費用、月額とも全県協議会が負担。 開示施設
閲覧施設
(IPsec-IKE)
初期費用のみ。端末一台目10,000円、二台目以降5,000円、ただし、現在は3台まで全県協議会が負担。 閲覧施設
通信回線利用料 開示施設 施設による 開示施設
閲覧施設 施設による 閲覧施設
※本表は事例共通表である。該当する費目がある場合は○、該当する費目がない場合は×を示している。
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成
(4) 運用費用の負担配分の決定方法

全県協議会の運用費用は、原則、開示施設と閲覧施設からの利用料金を充てているが、運用費用が不足した場合は、滋賀県からの補助金を受けている。平成27年度の補助額は約19,500千円であった。

運用費用の負担については、滋賀県や全県協議会、各医療圏協議会で協議・検討を行った。利用料金による自主運用が望ましいものの、高い利用料金とすると参加機関数の増加や継続参加に支障が生じ場合があることから、先行した湖東・湖北医療ネットの統合をふまえ、全県協議会で検討したところ、閲覧施設で月額2,000円(閲覧病院は月額5,000円)が適当であるとの結論に至った。そこで、滋賀県としては、利用参加者が目標数値(400施設程度)に到達するまでの間(3年程度)は運営費補助を実施することとし、その後は、実施主体による自立運営を実現することとした。

図表:全県協議会の歳入内訳
費目 費目 負担者
該当/非該当
金額
利用料金 開示施設 13,500千円 開示施設
閲覧施設など 5,000千円 閲覧施設
自治体助成(滋賀県) 19,500千円 滋賀県
※本表は事例共通表である。該当する費目がある場合は○、該当する費目がない場合は×を示している。
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料より作成
(5) 利用料

びわ湖メディカルネットの利用料は、開示施設(一般病床300床以上の病院)が月額55,000円、開示施設(一般病床300床未満の病院)が月額45,000円、閲覧施設は病院の場合は月額5,000円、医科診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーションの場合は月額2,000円である。なお、閲覧施設の場合は、病院であれば、利用者IDが11以上の場合は10IDを超えるごとに追加費用として5,000円、診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーションであれば、利用者IDが6以上の場合は5IDを超えるごとに、追加費用として2,000円が発生する。

利用料の決定においては、閲覧施設の参加目標数を400以上とし、開示施設や連携システムの利用料とあわせて、年間の運営費のすべてを確保することを前提に試算した数値をもとに検討し、技術委員会・運営委員会の協議を経て全県協議会が決定した。

図表:利用料金
分類 単位 月額利用料金
(消費税別)
利用者ID数
連携システム 在宅療養支援システム 滋賀県医師会 50,000円
遠隔病理システム 滋賀県立成人病センター 50,000円
開示施設 一般病床数300床未満の病院 1施設あたり 45,000円
一般病床数300床以上の病院 1施設あたり 55,000円
閲覧施設 以下診療所および薬局など 1施設 (利用者IDが5未満※) 2,000円 1施設あたりの利用者IDの発行上限は5IDとする
※1施設で利用者IDが6ID以上必要な場合は、5IDごとに1施設分追加 2,000円×施設数
病院(閲覧のみ) 1施設 (利用者IDが10未満※) 5,000円 1施設あたりの利用者IDの発行上限は10IDとする
※1施設で利用者IDが11ID以上必要な場合は、10IDごとに1施設分追加 5,000円×施設数
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料
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