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びわ湖メディカルネット(平成26年稼働)
特定非営利活動法人滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会(滋賀県)
077-582-5215 公式ホームページ

※平成28年9月1日時点のインタビューの結果を掲載しています。
(ただし、登録患者数や参加機関数は、11月15日時点のものを掲載。)

全体概要

対象地域 滋賀県全域
構築時の主な関係者 滋賀県医師会
滋賀県
費用負担
※構築費用はデータ出力対応費を含む
構築費用:
 総額不明
・医療情報ネットワーク基盤整備
約4,000万円
・ポータルサイト構築
約5,000万円
・地域医療連携システムや在宅療養システムなどとの接続
約3,500万円
・開示施設の開示用サーバと電子カルテとの接続 
1病院約2,500~約3,500万円(2,500万円まで県が負担) 
≪負担者≫
・滋賀県
・開示施設

運営主体の運用費用:
3,800万円
≪負担者≫
・滋賀県
・参加機関
※ 全体運営費から利用料など収入を差し引いた額を滋賀県が補助している
規模 登録患者数: 約13,500人
参加機関数: 178施設
・開示施設 22施設
・閲覧施設 156施設
※病院 11施設
診療所 112施設
訪問看護ステーション 5施設
薬局 28施設
[平成28年11月15日現在]
病病/病診連携以外のサービス 薬局との連携サービス、訪問看護ステーションとの連携サービス、保健所との連携サービス、在宅療養支援システム「淡海あさがおネット」(医療・介護連携のネットワーク)との連携サービス

概要

びわ湖メディカルネットは、滋賀県全域を対象としている医療情報連携ネットワークである。滋賀県では医療資源(医師、看護師)が不足しており、特に県東部、県北部、県西部で不足が著しい。一方、県南部には医療資源が集中しており、医療資源の偏在や患者集中などの課題があった。

このため、滋賀県では医療機関の役割分担を明確化し、それぞれの医療圏において患者の紹介・逆紹介を活発化することで病病連携、病診連携を促進し、医療サービスの拡大と質的向上を図ることにした。医療連携を推し進めるためのキーとなる医療情報連携を積極的に推進することとし、地域医療再生計画に基づいてびわ湖メディカルネットを構築し、平成26年7月から運用を開始した。

びわ湖メディカルネットは、地域医療連携システムであるHumanBridge(富士通株式会社)とID-Link(株式会社エスイーシー、日本電気株式会社)をポータルサイトで統合した共存型であるのみでなく、ポータルサイトを介して患者基本情報や受診歴の情報を提供するとともに、在宅療養支援システム「淡海あさがおネット」(以下、淡海あさがおネット)と連携し、急性期医療から在宅療養支援までを対象範囲に一貫した医療情報ネットワークとして運用されている。びわ湖メディカルネットの運用により、患者さんの診療における安心感の醸成、病院における迅速な受入体制の構築、診療における治療方針や検査結果・服薬状況等の的確な確認、病院の診療から在宅療養・生活支援までの情報共有の実現などの具体的な効果が上がっている。

図表:びわ湖メディカルネットの概要
びわ湖メディカルネットの概要
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料

特徴

びわ湖メディカルネットは、平成21年度地域医療再生計画にて先行して構築・運用されていた湖東・湖北医療ネットを統合して全県単位で医療情報連携ネットワークを構築した点と、淡海あさがおネットと連携することで急性期から在宅療養までをつなぐ一貫したネットワークを形成した点に特徴がある。

また、淡海あさがおネット、遠隔病理診断システムなどのシステムとの連携が可能となるよう共通機能を集約・一元化するとともに、連携したシステムの登録患者が運用開始当初から名寄せできていたという点に大きな特徴がある。

成功要因

先行して構築されていた湖東・湖北医療ネットとの統合を行ったため、合意形成に特に時間を要したが、各医療圏に協議会(以下、医療圏協議会)を設置したうえで、県単位の組織である特定非営利活動法人滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会(以下、全県協議会)との間で上下の関係を置かず、対等な立場で議論を進めたことや、関係者が労を惜しまず顔の見える関係を築き、ひとつひとつ議論を積み重ねていったことが成功要因である。

当初は、全県協議会と医療圏協議会の間で意見の相違がみられ、調整に苦心したが、相互に話し合いを進めていく中で理解が進んだ。具体的には、全県協議会において、各医療圏の関係機関や団体が参加した技術委員会・運営委員会で重要事項を協議・決定するとともに、決定事項を伝達するのではなく、各医療圏協議会にも諮って決めるという対等な進め方を行っため、各医療圏協議会から自主的・積極的な協力を得られるようになり、全県域を網羅した医療情報連携ネットワークの構築につながった。

ネットワーク構築時の苦労

構築時に苦労した点とその解決策は以下の通りである。

図表:構築時の苦労と解決策
  苦労 解決策
1 既存ネットワークの参加
(湖東・湖北医療ネット)
平成21年度地域医療再生医療計画をふまえ、湖東湖北医療ネットが先に整備・運用された。その後、第2次地域医療再生基金を活用して、全県域で構築することになったため、湖東湖北医療ネットと全県単位のネットワークとの統合において、セキュリティ内容や料金設定などの認識合わせに苦労した。 既存ネットワークへの説明会や意見交換会を数多く実施し、顔の見える関係を築くとともに、協議による調整を積み重ねた。
2 既存ネットワークの参加
(淡海あさがおネット)
滋賀県医師会主体で先行整備されていた淡海あさがおネットとの連携においては、滋賀県医師会との協力関係を構築することが不可欠であり、調整などの取組みが必要となった。 全県協議会および各医療圏協議会において、滋賀県医師会、地域医師会の参画を求め、協議を重ねる中で、合意形成を図った。
3 ベンダ間の連携 ポータルサイトで登録同意患者の基本情報や受診歴を表示するため、地域医療連携システムなどとの情報の受け渡しが必要であり、関係ベンダでの連携が重要であるが、取組みの経験があまりないため、協調して進めることに苦労した。 関係ベンダ間の協議の場を多数設けるとともに、コンサルタントの協力を得て、ベンダ間の調整を徹底した。
4 ベンダからの情報提供の不足 連携するシステム(淡海あさがおネットなど)に関して、ベンダからの情報が不十分であり、情報収集と適切な判断を行うことに苦労した。 それぞれの連携システムの運営主体と協議を行うほか、滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会内部の委員会で協議を積み重ね、必要により委員会へのベンダの参加を求めて情報不足の点を確認し、事前調整を徹底した。
出所:滋賀県医療情報連携ネットワーク協議会提供資料

運営主体からのこれから医療情報連携ネットワークを構築する方へのメッセージ

医療情報連携ネットワークの整備は、医療機能の分化・連携や、医療にかかわる人々の多職種連携を進め、限られた医療資源の中で、今後の医療の拡充を図っていくための重要な手段となっている。

ただし、医療情報連携ネットワークは、あくまでも医療機関や医療に従事する人々の情報連携を進めるための手段であり、医療情報連携ネットワークとして発展していくためには、病病あるいは病診・在宅の連携を推し進めるための政策的な取組みや制度的な改革が積極的に図られることが重要である。

このため、医療にかかわる機関や団体、行政などが地域の医療提供体制の整備や具体的活動についての協議を重ね、中長期的な視点に立ってネットワークの導入を検討することが必要である。

また、ネットワーク構築の取組においては、関係者が根気強く協議を重ね、お互いに顔の見える関係を築き、医療情報連携ネットワークの目的や整備の具体的方向について、共通の理解を深めておくことが重要である。

さらに、医療情報連携ネットワークの利活用を促進し、医療情報の共有を進めていくためには、それぞれの医療現場に従事する関係者相互の信頼感が重要であり、協議や説明にかける時間を惜しまず、理解と信頼の醸成を図るとともに、ネットワークの具体的な活用方法をイメージし、あらかじめ関係者間で共有しておくことも必要であると考える。

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