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ピックアップ事例

あじさいネット(平成16年稼働)
特定非営利活動法人 長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会(長崎県長崎市)
095-844-1111 公式ホームページ

※平成29年2月時点
(ただし、登録患者数や参加機関数は、平成28月11月15日時点の情報を掲載)

運用Step

1.運用に向けた文書作成

A-netの各種文書を参考にして運営委員会で文書案を検討し、作成した。

図表 作成した主な文書類
種類 文書名
組織、運用
  • ・長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会定款
  • ・利用者規程
  • ・利用細則
運用管理規定
  • ・運用管理規定
個人情報保護
  • ・個人情報保護方針
セキュリティポリシー
  • ・セキュリティポリシー
入会
  • ・入会申請書(組織入会申請書、個人入会申請書)
  • ・退会申請書(組織退会申請書、個人退会申請書)
  • ・情報提供病院入会申請書
利用
  • ・利用者マニュアル
同意書
  • ・参加同意説明書、説明同意書、同意撤回届(3枚セット)
※職種別(医師用(一人、多人数)、薬剤師用、看護師用、多職種用)、エリア別に様式を別に設けている
  • ・参加同意説明書、説明同意書、同意撤回届(3枚セット)
※職種別(医師用(一人、多人数)、薬剤師用、看護師用、多職種用)、エリア別に様式を別に設けている
広報
  • ・広報誌「あじさいネットOFF LINE通信」
  • ・あじさいネットのご案内(医療関係者用)
  • ・あじさいネットのご案内(患者用)
出所:あじさいネットHP、長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会提供資料より作成

2.システム運用保守体制決定

大村市で運用開始した当時、保守は定期保守契約をしないスポット保守で対応していた。しかし、長崎市に広域化したことにより参加機関数の増加が予想され保守業務の強化が必要となったため、株式会社NTTデータ中国に24時間365日対応の保守を委託することにした。

3.参加機関の募集・説明・契約

(1) 募集方法

病診連携に対する診療所の潜在ニーズを顕在化させるため、啓発活動に力を入れた。アンケート調査を繰り返して診療所の病診連携の潜在ニーズを確認した。あわせて、運用上のニーズに沿ってシステムをどう使うのかを伝えるため、講演会やパソコン操作教室の開催、医師会報への投稿を重ねた。啓発活動の効果が出てきた段階で、病院と診療所が対等に運用を検討できる場を設け、検討を重ねた結果、運用開始時点で多くの医療機関があじさいネットに参加した。この方法は長崎市に広域化した際にも採用した。

図表:運用開始前のアンケート実施
時期 実施事項
平成15年5月 地域医療連携IT化検討委員会が発足
平成15年12月 第1回大村地域診療所医師向けアンケート実施
平成16年7月 長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会が正式発足
平成16年11月 あじさいネット運用開始
平成17年4月 長崎市医師会において「地域医療ネットワーク推進部会(長崎市)」が発足
平成17年10月 長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会を特定非営利活動法人化
平成18年10月 第1回長崎市内病院向けアンケート実施
(開示希望:24施設)
平成19年2月 第1回長崎市内診療所医師向けアンケート実施
(閲覧希望:200名)
平成19年8月 第2回長崎市内病院向けアンケート実施
(開示希望:20施設)
平成19年11月 長崎市のあじさいネット運用検討会である「あじさいネット準備委員会」発足
平成20年8月 第2回長崎市内診療所医師向けアンケート実施
(入会希望:129名)
平成21年4月 長崎地域においてあじさいネット運用開始
出所:あじさいネットHPおよび長崎県におけるITを使った医療連携~あじさいネット見学資料~(一般)より作成
(2) 参加機関への教育、訓練

会員は患者情報保護の重要性を認識し、取扱いについて正しく理解しておく必要がある。このため、事務局に入会の申込みをした後、運用講習会を受講することを義務付けている。

運用講習会では、「あじさいネットとは?」、「あじさいネットの利用典型パターン」、「あじさいネットの実績」、「あじさいネットの利用方法」、「入会から利用まで」、「同意書の運用」、「あじさいネットセキュリティルール」について約1時間半かけて講習している。

図表:あじさいネット入会方法
図表:あじさいネット入会方法
出所:あじさいネット運用講習会資料
(3) 参加医療機関数

当初は病診連携を想定、その後、薬剤師からの要望により病薬連携を開始したため、参加機関の多くは病院、診療所、薬局である。

平成26年から在宅医療であじさいネットを利用できるようにしたため、訪問看護ステーションや介護事業所も参加するようになった。

開示施設は、平成16年の運用開始時の1施設以降順次増えていき、運用開始から12年で32病院となった。開示施設の立地地域は島嶼部を含む全二次医療圏にわたる。

図表:参加機関数(平成29年1月現在)
開示/閲覧 機関種別 参加機関数
開示施設
(32施設)
病院 32施設
閲覧施設
(291施設)
病院・診療所 203施設
薬局 68施設
訪問看護ステーション 13施設
介護事業所 6施設
行政 1施設
合計 323施設
出所:あじさいネットHPより作成
図表:エリア別の開示病院
図表:エリア別の開示病院
出所:あじさいねっと運用講習会資料
(4) 普及のための取組み
1) 初期費用の支援

開示施設を増やすため、初期費用(ゲートウェイサーバの設置費用)を補助してもらえるよう長崎県に働きかけた。初期費用は病床規模により500万円から1,400万円ほど必要であり、この半額を長崎県が地域医療再生基金や地域医療介護総合確保基金により補助した。平成23年以降に参加した18病院はすべてこの補助を受けた結果、開示施設は31病院に増加した。

2) 運用開始支援

新規の参加施設に対しては、「あじさいネット拡充プロジェクト室」が初期費用の補助金申請、運営体制始動、テスト運用支援、運用講習会の実施などの支援をしており、迅速な利用開始につなげている。

3) 広報誌

医療機関の参加促進および会員の利用率の向上を目的として、平成24年1月に広報誌「あじさいネット OFF LINE通信」を創刊、あじさいネット拡充プロジェクト室が記事を企画、年4回発行している。あじさいネットを上手く活用している会員への訪問インタビュー形式としており、あじさいネットの価値ある使い方を分かりやすく伝えている。団体入会しているが未加入の医師(閲覧施設)などの増加を期待している。

4) その他

ホームページの充実、あじさいネットの紹介や医療連携ネットワーク間の交流を行う「あじさいネット研究会」(年1回)、積極的な視察・見学の受け入れを行っている。

4.設備工事・導入

運用講習会修了後に、運用講習会修了証とあじさいネットID、パスワードを発行、開示施設における新規会員登録と同時に、長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会事務局からの依頼により、システム事業者がセットアップを行い、利用を開始する。

5.参加患者募集

(1) 同意書取得

同意方法は、A-netの運用を参考とし、受診した参加機関において、説明同意書に掲げられた参加機関リストから患者が連携先を1つ指定する施設単位の個別同意である。連携先を複数指定する場合はその数だけ同意書を記載する必要がある。

同意書の作成は、A-netを参考に運営委員会で検討して作成した。同意書の書式を作成するにあたり迷った点は、代理人による同意を認める範囲である。当時は身寄りがない患者については施設長による代行同意が希望されたとがあったが、トラブルの元になるため認めないこととした。配偶者か二親等以内の親族にのみ代行同意を認めている。

現在、同意書は下記のとおり、患者に説明する職種別に複数用意している。病病連携の開始に向けて平成28年に同意書を改訂し、従来の同意書を「閲覧施設用」とし、病病連携の本格運用開始に向け、新たに「情報提供病院用」を用意した。また、多数の医師がいる病院向けの「医師多人数版」、様々な職種に対応できる「多職種版」を用意した。

図表:あじさいネットの同意書の種類
種類 内訳
情報提供病院用(開示施設)
  • ・医師用(一人)、医師用(多人数)
  • ・薬剤師用
  • ・訪問看護師用
  • ・多職種用
閲覧施設用(閲覧施設)
  • ・医師用(一人)、医師用(多人数)
  • ・薬剤師用
  • ・訪問看護師用
  • ・多職種用
出所:あじさいネットHPより作成

>あじさいネットの同意書一覧
http://www.ajisai-net.org/ajisai/02_member/index.html

(2) 同意取得フロー

下図の手順により同意取得を実施している。

図表:同意取得フロー
図表:同意取得フロー
出所:あじさいねっと運用講習会資料

■ 患者に説明

  • ・「あじさいネット参加同意説明書」を用いて、主治医、薬剤師、訪問看護師が患者にあじさいネットおよび同意書の説明をする。

■ 同意書取得

  • ・患者が必要事項を記入後、説明者は署名(自著)し、必要事項を記入する。
  • ・同意書は、「参加同意説明書」、「説明同意書」、「同意撤回届」の3枚セットとなっている。説明者は同意撤回届にも署名、記入のうえ患者に渡す。

■ 該当連携室へTEL&FAX

  • ・取得した同意書を、閲覧を希望する開示施設の担当部署(地域連携室など)へFAX送信する。

■ 設定終了FAX

  • ・開示施設の担当部署は、同意書に署名した医師などに対して該当患者へのアクセス権を設定。あじさいネットでは「15分ルール」を設けているため、15分以内(通常10分程度)に、開示施設の担当部署から同意取得をした医療機関へ、登録手続き完了のFAXを送信する。この時点であじさいネットの利用が可能となる。
  • ・取得した同意書の原本は、閲覧を希望した開示施設に郵送する。

(3) 参加患者数

あじさいネットに登録されている患者数は、平成29年1月15日現在で61,134人である。毎月800~1,000人のペースで増加している。

図表:参加患者数の推移
参加患者数の推移
出所:長崎県におけるITを使った医療連携~あじさいネット見学資料~(一般)
図表:参加患者数の推移(5,000人単位)
参加患者数 達成時期 +5,000人までの
期間
5,000人 平成20年2月 40ヶ月
10,000人 平成22年1月 24ヶ月
15,000人 平成23年3月 22ヶ月
20,000人 平成24年2月 11ヶ月
25,000人 平成24年12月 10ヶ月
30,000人 平成25年9月 9ヶ月
35,000人 平成26年4月 7か月
40,000人 平成26年10月 6ヶ月
45,000人 平成27年5月 7ヶ月
50,000人 平成27年12月 7ヶ月
55,000人 平成28年6月 6か月
60,000人 平成28年11月 5か月
出所:あじさいネットHPより作成

6.評価・課題整理

(1) 満足度の把握状況

会員に対するアンケートは不定期に実施している。あじさいネットに対する評価を概ね2年に1回程度確認している。

「患者が入院した後でもかかりつけ医としての務めが果たせるのでありがたい」(会員医師)と高い評価を受けている。診療所の医師は、あじさいネットに参加していない病院と比べてあじさいネットの参加機関を積極的に紹介する傾向がある。

図表:主なアンケート結果(平成26年4月実施)
質問 積極的な評価
※(該当選択肢回答数/回答数)
あじさいネットが初診時に役立ったことがあるか? 74.7%(65/87)
あじさいネットで入院経過を確認したことがあるか? 83.9%(73/87)
あじさいネットがなければ知りえない重要な診療情報を得たことがあるか? 80.5%(70/87)
服薬指導に有益だったことがあるか? 91.6%(33/36)
副作用の確認をしたことがあるか? 72.2%(26/36)

※「よくある」と「たまにある」の回答の合計

出所:あじさいネット運用講習会資料より作成
図表:紹介先病院の推移事例
図表:紹介先病院の推移事例
出所:長崎県におけるITを使った医療連携~あじさいネット見学資料~(一般)
(2) ネットワーク利用状況

あじさいネットワークの利用状況としてアクセスログを取得している。アクセスログによると、主な利用時間帯は診療時間内の11時頃と診療後の夕方である。診療時間内に初診患者の情報を確認するパターンと診療後に紹介・逆紹介した患者の情報を時間をかけて確認する2パターンに分かれている。

後者のパターンの場合、病院が診療所に逆紹介をすると患者によっては「見放された」と思うことがあったが、紹介先の医療機関で自分のカルテを見ることで、病院間のつながりが分かりやすく、安心につながっている。また、病院での滞在日数が短くなり、病院医師とのコミュニケーションが十分取れないまま退院することが増えているが、紹介先の診療所医師が、入院中のカルテを見ながら診断内容や検査の意味、現在の病状などを患者に「翻訳」、患者の理解を助けることで安心につながっている。

図表:アクセス時刻
図表:アクセス時刻
出所:長崎県におけるITを使った医療連携~あじさいネット見学資料~(一般)
(3) 現在の課題と改善の方向性

1) 市民向け広報

医療情報連携ネットワークとしては全国的に知名度がある一方、長崎県民にはまだ十分に浸透していない。平成28年度診療報酬改定により、患者の診療にあじさいネットを利用した場合には、診療報酬を請求することが可能となった。患者向けの広報活動を行い、受診時にはあじさいネットの参加機関を積極的に選択してもらえるようにしたいと考えている。

2) 事務体制の確保

あじさいネットは機能追加・拡充によりユーザーが選択できるサービスが増えている。運用開始から12年経つシステムのため、ユーザー一人につき複数のサービスを登録する一括登録ができない。サービスごとにユーザー登録作業が発生しており、今後の更なる機能拡充を見据えた場合、登録システムの効率化に向けた機能向上、事務体制の確保が課題となっている。

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